リレーコラムについて

コピーライターのプロセス価値①アカウンタビリティ

渡邉寛文

突然ですがカオスマップはご存知でしょうか?
ご存知でない方はまずは下記をご覧ください。

参考サイト: Chiefmartec.com
https://goo.gl/hsx5ch

こちらはデジタルマーケティングに携わる人なら一度は目にする業界地図で、マーケティングテクノロジーを提供するプレーヤーが機能ごとに網羅されています。掲載されているロゴの数は実に6,829個。正式名称は「マーケティングテクノロジーランドスケープ」と言い、通称「カオスマップ」と言われています。

上記のカオスマップは米国版ですが、前職時代に私の上司だった菅恭一さんが立ち上げたマーケティングプロデュース会社であるBICP社(株式会社ベストインクラスプロデューサーズ)が国内版を公開されているので合わせてご覧ください。分かりやすさを担保するため必要なプレーヤーのみを厳選して掲載されている上、2016年度版ということでプレーヤーの数がやや少なく、控えめの嗚咽感で全体が見渡せると思います。

参考ブログ: 株式会社ベストインクラスプロデューサーズ
https://bicp.jp/blog/2016-5-10

デジタルマーケティングの遂行者は、これらマーケティングテクノロジーの種類とそれを提供するプレーヤーの職能を理解し、業務を遂行する上での体制を構築する必要があります。広告制作を進める上で広告主や代理店がCMプロダクションやデザインプロダクションを選定するのと同じく、マーケティングの与件によってエグゼキューションを担うテクノロジーとプレーヤーを選定します。キャリアのデジタル化を進めていくと、まずこの多岐に渡るテクノロジーの種類の理解と乱立するプレーヤーの理解という壁にぶつかります。これだけカオスな状況では当たり前ですね。しかし、それは広告主もまた同じです。

急激なデジタル化が進む昨今、デジタル人材を除いた誰もが何をどうしたらいいのか分からない状況です。広告主はとりあえず長く太く付き合ってきた広告代理店に相談してみます。しかし、その相談に対して満足がいく説明ができる広告代理店はとても少なく感じます(背景には広告代理店のデジタルシフトの遅れとフロント営業のITリテラシー不足があると思います)。この広告代理店のデジタルに対するアカウンタビリティの不足に、コピーライターが活躍できるチャンスがあると思います。

そもそもアカウンタビリティとは、主に行政・金融・医療・PRの分野で使われてきた専門用語で、その定義は各業界で若干異なるようです。日本パブリックリレーションズ協会のホームページによるとアカウンタビリティは次のように定義されています。
「アカウンタビリティとは説明報告責任のことで、企業が自ら行った行動に対して明確に説明する責任のことを指す。」
ほかにも色々とググってみましたがデジタルマーケティングにおけるアカウンタビリティについての最もわかりやすい説明では、マーケッター向け専門メディア「Markezine」の説明が最適だと思われます。
「アカウンタビリティは関係者に対する説明報告責任。広告の詳細な効果測定が可能になったことで、広告主に対する代理店のアカウンタビリティが重要視されている。」

カオスな業界分布に加えて、効果測定を意図に取得される大量の数値。
これからアカウンタビリティはマーケティングを最適な方向に導くための重要なプロセスとなるはずです。

「なぜAというテクノロジーではなくBというテクノロジーを選ぶのか。」
「なぜA社ではなくB社を選ぶのか。」
「なぜ1%ではなく2%という結果なのか。」

これらを丁寧に紐解き誰もが納得がいくように説明できることは、デジタルマーケティングのプロセスにおける有効なスキルです。
「物事の本質を正確に捉えて、分かりやすく言葉で伝えることができる」という武器を持っているコピーライターは、アカウンタビリティを核としたデジタルの翻訳者として最適な人材だと私は思います。

明日はマーケティングの実行プロセスにおけるコピーライターの武器その2について言及していきたいと思っております。

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