火災
「火災です。ジリリリリリ!!!!」
はいはい、わかりましたよ。
昨年10月、
残暑もようやく一服し冬用の布団に変えた頃、
それは始まった。
ジリリリリリリ!!!!!
夜中2時マンション中に鳴り響く火災報知器。
はじめてのことに驚き廊下に出る。
同じフロアの住人もみな困惑している様子。
お隣「火事?避難した方がいいですかね?」
ジリリリリリリ!!!!
ヤマダ「出火しましたか?うちは問題ないです」
お隣「うちも」お向い「わたしのところも」
ジリリリリリリ!!!!
お向い「誤作動ですかね?」
ジリリリリリリ!!!!
お隣「下の階も鳴りはじめたみたいです」
お向い「しっかしうるさいですねーはやく何とかしてくれないかなー」
ジリリリリリリ!!!!
一向に鳴り止まない報知器。深夜にこれはきつい。
お隣 「あのー関係ないんですけど。ドア前にこういう私物置くのやめません?」
お向い「え?あーすみません。気をつけます」
ジリリリリリ!!!!
お隣さん、いま言うかね。
私は場を和ませようと思ったのと、
プラス深夜のテンションが手伝って冗談を言ってしまった。
ヤマダ「こどもの時、火災報知器のボタンを押したくなりましたよねー
これ押したら学校中パニックになっちゃうぞ!って。
だれか童心に返ったんですかね 笑」
お隣&お向い「…」
ヤマダ「部屋もどりますか。いや廊下出ていた方がいいか。」
お隣&お向い「…」
ジリリリリリリ!!!!
ご近所さんとの親交に失敗し、
けたたましいベル音だけが鳴り響く中、
消防の方々が到着した。
消防 「すみません、◯◯◯号室の方いますか?」
わーお。なんと私だ。
消防士「◯◯◯号室が出火元と表示されているんです。部屋見せてください」
みんなの視線が痛い。
イタズラ野郎だと思われている。
消防士「発生していないですね。」
ヤマダ「だから何もしていないんですよ。」
消防士「でも報知器作動の記録は残っていますね。
古くて故障しているのかもしれません。」
ヤマダ「ご迷惑おかけしました。管理会社に連絡し対応してもらいます」
後日、私の部屋の報知器の交換を行った。
管理会社より全住戸にトラブルの経緯報告も行なってもらい、
無事に私の疑いを晴らしてこれで、この件は片付いたかと思えた。
ジリリリリリリ!!!!
またも鳴り響く火災報知器。
出動される消防士。案の定出火元は私の部屋。
今度は廊下の火災報知器と私の部屋の報知器の電気系統を交換することに。
ジリリリリリリ!!!!
ジリリリリリリ!!!!
ジリリリリリリ!!!!
それから半年、計6回の火災が私の部屋から発生した。
最悪にも必ず夜中に鳴った。
その度に点検が入り新たな電気系統を取り替えていった。
マンション中が怒っている報知器トラブル。
考えられるところは全部替えなさいよとクレームを入れ、
部屋中の電気系統が剥がされていった。
インターフォンのカメラも給湯器のモニターも変えた。
そして、
何が原因だったかはわからないままだが、
ようやく、本当にようやく、
ジリリリリリリ!!!!
おさまったかのように思えただけだった。
明日また管理会社に電話しなくては。