50案で挑め
このコラムは若いコピーライターや
コピーライターをめざしている人に
よく読まれていると聞きます。
なので今回はそんな人向けに、
コピーの案出しのお作法みたいなものについて
書いてみたいと思います。
打ち合わせにはコピーを
何案くらい持っていったらいいか、
という問題について。
もちろんそんなものに
正解なんてないのですが、
あなたがまだ経験の浅いコピーライターなら、
まずは50案で挑むことを勧めたい。
当然書くにあたっては
もっとたくさん書いた方がいい。
書くことは体力がいる。
筋トレやランニングと一緒で、
たくさん書かなければ、
決してたくさん書けるようにはならない。
ただ、書いたものを見境なく
全部出すのはいかがなものか。
1〜2年めのコピーライターだったら
それでもいいかもしれません。
ですが3年め以降になれば次のステップとして、
書く力だけでなく、選ぶ力も身につけたい。
厳選しすぎると自分ではわからなかった
いいコピーを捨ててしまう危険がある。
せっかく考えたのだから、それは絶対に避けたい。
選ぶことは書くことよりむずかしいものです。
その点、50案程度あればその心配は少ない。
まっとうな案も、攻めた案も、ネタ案も入れられる。
ほぼ同じ案は絞って磨いてさらに精度を上げ、
視点の違うものはなるべく残す。
数がふえすぎると
自分の頭の整理がつかなくなるのも問題です。
そうなるとただ書いているだけ。
それならAIにだってできるのです。
これは完全に感覚値ですが、
50案くらいならギリ整理できる気がします。
頭の整理ができてないと
きちんと説明できないので
コピー出しもだんだんダレてくる。
出す方も見る方もいいかげんになり
みんなにとって苦痛の時間になる。
見る人の機嫌が悪くなると
残るものも残らなくなることがある。
これは意外と大事なことです。
めざすは極上の幕の内弁当。
とっておきのメインがありつつ、
それ以外にもおいしいものが詰まっている。
50案で1割くらいいいコピーがあれば上出来です。
もしいまコピーに悩んでいる人がいたら、
この「型」を試してみてはいかがでしょう。
「型があるから型破り、型が無ければ形無し」
これは十八代目中村勘三郎さんの言葉です。
型破りなコピーライターになりたいあなたに。