「10年いっちょまえ説」やってみた
内山奈月さんからバトンを受け取りました
2023年度入会の武井宏友と申します。
いまはフリーでコピーライターをしています。
その前は、オカキンという会社で
岡本欣也さんのアシスタントとして
コピーライターをしていました。
新人賞もその時に取らせていただきました。
10年。
岡本さんの下で働いていた時間。
改めて厚生年金の加入期間を確認したら
ぴったり120か月だった。
その10年間にかぎって言えば、
おそらく日本でいちばんコピーを書いた
コピーライターだったんじゃないかと思う。
なぜならふつうコピーライターは
コピーを書くことだけが仕事ではない。
打ち合わせ、プレゼン、取材、撮影、
編集など。そしてそれに関わる色々な準備。
もちろん組織として必要な業務もあるはず。
だからコピーを書く時間はどうしても限られる。
つまり物理的な限界がある。
しかし自分の場合はちがう。
そういう楽しそうなものには基本参加しない。
打ち合わせに出るのも必要最低限で
あとはただひたすら
机に向かってコピーを書いていた。
アシスタントには
「これでよし」というのは存在しない。
いかなる時もギリギリまで考える。
むしろ時間だけはたっぷりあるから
時間がない、という言い訳もできない。
だが時間がなくて書けない時より、
時間があるのに書けない時のほうが
よっぽどキツい。
時間は十分に与えられている。
そこでめぼしいコピーがなければ
目も当てられない。
そしてその悲劇はたびたび起こる。
そんな日々が1年や2年ではなく、
10年ずっとつづいた。
「10年いっちょまえ説」は
吉本隆明さんの仕事論ですが
最近の若者がどう感じるかはわかりません。
いまのところこの説が
正しいと証明できたかどうかは
体感微妙なところですが、
偉大な先人の顔に
泥を塗るわけにはいかないので
もっとがんばる必要がありそうです。
それでも10年ひたすら
コピーを書きつづけたことが、
ちょっとやそっとじゃ揺るがない
いまの自分の土台になっていることは
どうやらまちがいない気がします。
5955 | 2025.09.08 | 「10年いっちょまえ説」やってみた |