リレーコラムについて

勝手にフリーランス会社員

鈴木拓磨

自由に働きたい。
きっと誰もが一度は思うことだろう。

じゃあ会社、辞めちゃえばいいじゃん。
というのはさすがに乱暴である。
誰もが会社は辞めたくないけど
自由に働きたいのである。

では、そんな立場に
なれるのだろうか。なれる。

「まずは、勝手にやっちまえ」

というのは
そこまで乱暴じゃないかも
という話。

勝手にフリーランス会社員。

T.C.Pという札幌の制作会社で
27歳でコピーライターになって
39歳の独立まで12年3ヶ月お世話になった。

そのうち、後半の6年ぐらいは
会社員でありながらフリーランスのような
仕事のしかたをしていた。

特に最後の1年は在宅勤務もあいまって、
フリーダムすぎて独立する意味とか
別にないんじゃと何度も思ったほどだ。

そんな風にのびのびやらせてくれた
器の大きな古巣には感謝感謝、
恵まれた環境だったといえばそれまでだが

入社から6年ぐらいは
朝から夜中までずっと会社の中にいて
社外の人と会わないコピーライターだった。

クライアントや広告代理店に呼ばれた
別のスタッフが外出、打ち合わせしてくる。
その人の帰社を待って社内で打ち合わせ。
そこからがおれの作業時間。

クライアントも広告代理店も、
どんな人間がコピーを書いているのか知らない。
こちらも、名乗る機会はない。
そういう働き方が当たり前で、
業界のアワードだとかは
永遠に無縁だと思っていた。

そんなこんなで6年ぐらいして、
ふとしたきっかけから社外へ出るようになった。
デザイナーがいる制作会社に所属していながら、
広告代理店や、
ふだん競合するような他の制作会社に対しても
「コピーだけでも仕事うけられますよ〜」
ということをぽつぽつと言い始めた。

「コピー書きます」という看板を
ひとりで勝手に出したのだ。
いちおう会社にはふんわりと伝えながら。

そしたら、社外の人とやる
コピーの仕事が少しずつ増えてきた。
個人請けはせず、すべて会社を通して、
昼間の会社で堂々と作業し
堂々と打ち合わせに出かけた。

そんな風にして携わった仕事のひとつが
2017年にバズって
2018年にTCC新人賞をいただいて、
自分だけで稼働するコピーの仕事が
さらに増えた。

いわゆる社内の仕事も
引き続きあるにはあったが、
自分が受注した仕事との兼ね合いもあるから
自分のスケジュールは自分で切って、
どの仕事をいつやるかは
自分で決めるようになった。

きっと
朝から夜中までずっと会社にいて
好きなときに打ち合わせができて
すぐにその案件に着手してくれる
コピーライターのほうが
会社的には都合がいいんじゃないかと
会社的にはそっちのほうが正しいんじゃないかと
何度も考えたのだけれど

今になってよくよく思い返してみれば
会社的には会社的には、って
おれが勝手にそう思い込んで、
自分に自信がないもんだから、
勝手に社内に引きこもっていただけ
なのかもしれない。

バンクシーが小学生に宛てたというメッセージ

“It’s always easier to get forgiveness than permission”

というのがあるけど
(バンクシーのオリジナルではないようですが)

これにならえば
会社員の立場を維持しながら
もっと自由に働きたいと思っている人は

「まずは勝手にやっちまえ」

 

個人の感想でーす。

 

– – – – – – – – – –

 

一週間、
独立してのあれこれを書いてきました。
お読みいただいた方ありがとうございました。

リレーコラムのバトンをお渡しするのは
鎌田健作さんです。
Twitter相互フォローというだけで
お願いしたら受け取っていただけました。
うれしい。たのしみ。おたのしみに。

以上、札幌から
スコピー鈴木拓磨でした。
sucopy.jp

 

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