リレーコラムについて

好きな本の話

久能季恵

先週の白石さんからの「だって、いつかはどうせやらなきゃならないんだから。いいじゃない。」という電話に妙に納得して引き継ぎました、久能季恵です。
1週間、いま私が好きなコト、モノについてお話します。

本が、好きです。いつも持ってないと落ち着かない。分厚い単行本もヘイキで持ち歩くので、私のバッグはおっきくて丈夫なものじゃないとつとまりません。
基本は濫読ですが、好きな作家5人あげるとすれば、宮部みゆき、浅田次郎、高村薫、金城一紀、吉本ばなな。ばななはあまりに傾向が違うので、今回は外して、4人についての私なりの考察を。

この4人、ちょっと強引ですが、私の中ではミヤベ浅田グループと、薫様カネシログループに分かれます。
ミヤベ浅田は、とにかく書くテーマが幅広い。人情もの、時代もの、探偵もの、ミステリーもの・・・。どれもこれもがそれなりのおもしろさあり、深さあり。泣いて、笑って、もうタイヘン。(ミヤベは書かないけど、浅田の「きんぴか」とかのピカレスクはスッゴイ好きだし)とても器用で、どんなテーマでも上手に料理しちゃうんですよねえ。ミヤベの「R.P.G.」はさっすがうまいよね、こうくるかって感じだし、浅田の「オー、マイ、ガアッ!」は、なるほどいつもの浅田節ねって感じだし。文章がうまいってことと、多作ということも共通点。
薫様カネシロは、見え方として粘着質かどうかでは天と地の差があるんだけど、テーマのとらえ方、追い方が似てる。ものすごく骨があって、太さを感じる。書きたくて書きたくてどうしようもなかったものを、グ〜ッと書いてるというか。一途な感じがするのです。薫様の最新作はだいぶ昔だけど、「レディジョーカー」だったか。(エッセイは別にして)あの本は途中で止めちゃった人も多いほど、重くて深くて粘着質。カネシロは窪塚クンの映画で話題の「GO」。去年前期?の直木賞でした。(いまは「レヴォリューションNO.3」が出てます。)見え方軽やかひょうひょうとしてるけど、テーマは実は太かった。そういえば、二人とも寡作ですねえ。特に薫様、ず〜っとず〜っと、次の本をお待ちしてるのですが。

さて、この4人の大ファンであることを自負した上で、私が近ごろ思うこと。ミヤベ浅田はうますぎる。すっごく完成されててホントうまいなあって思うけど、何冊も読めば読むほどなんか物足りなくなってくる(ヘンな表現なんだけど)。薫様カネシロは、もちろんすばらしいんだけど、不器用さを感じる。でも、そこがたまらなく魅力的。魂がビシビシ伝わるとでもいいましょうか。

同じ言葉というものに携わるコピーライターのはしくれとしての本日のまとめ。
きれいにまとまった、うまいなあってコピーはもちろんステキなんだけど、魂のあるコピーを書きたいなあ。あっそうか、そのためには自分に魂がなくっちゃダメなんだよね。

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