リレーコラムについて

コピーライターは神様です

境治

えー、次を指名するのを忘れてました。来週は紫垣さんにお願いします。
紫垣さんは98年度最高新人賞に輝いた、リクルート所属のコピーライターです。
書店で98年のTCC広告年鑑を手に取れば、お顔を見ることができます。
カラオケがうまくて、オペラ歌手のような声量で唄います。

ところでぼくは、大学での専攻は宗教学でした。専攻は、なんてえらそうに言えるほど勉強はしませんでしたけど、まあ少しは実になっているとは思います。宗教学とはあくまでそれぞれの宗教を科学的に客観的に分析したりするわけですが、講義を聞きかじって思ったのは、人間とは実に様々なことを信じるもんだなあと。やることなすこと、宗教によって全然ちがうわけですね。

コピーライターになった時、あ、広告って宗教みたい、と思いました。だって例えばもしぼくがA社のクルマXの仕事をやることになったら、もうXこそ最高のクルマ!と信じて考える。一方、その一年後にB社のクルマYをやることになったら、みんなYに乗りなさい、Xに乗るなんてバッカじゃないの?と思いながらコピーを書くことになる。XなりYなりをほめるコトバを考えるときは、やっぱりXを、Yを信じないとなかなかいいコピーは出てきません。(同時に、Xはいいなあと思ってる自分を冷静に見つめながら、そうでもないんじゃない?と思ってる自分もいたりするから事態は複雑ですけど)

お客様も神様だけど、コピーライターも神様だったんですね。Xを信じよ、なぜならば、と宗教の教義を民に与える尊い職業。

しかもこの神様は、仕事によって平気で教義を変えられる。さっきまで「明日もきっと今日と同じだよ。だからこの○○を」と言ってたくせに、「明日は今日とちがうかも。だからこの××を」なんて言い出す。なんてふしだらなんだ。

いや、ふしだらではないんですね。「明日は今日と同じ」であることも、「明日は今日とちがう」ことも両方とも正しい。両方とも正しいことを知っているのがコピーライターかもしれない。そう考えると、神様以上の神様。すべての神を統合した神様。それがコピーライターなんです。こりゃもっと世間から尊敬してもらわなくちゃ。

最後は深い話にしようと思ってたんですけど、なんかカルい話になってしまいました。とにかくこれで、TCCリレーコラム第一週の終了とさせていただきます。

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