リレーコラムについて

たとえば物語を書くとする

五十嵐剛人

たとえば物語を書くとする。
それは山登りのように
ひどく大変な作業だから
途中で心が折れてしまわないように
最後までやり遂げる決心が必要になる。
その決心は題材が連れてくる。
どうしても書きたいことが見つかるまで
時間がどうしてもかかる。

それからそれを自分の今の力量で
どう料理するのが適切かを悩む。
たとえば1人称で書くべきか3人称で書くべきか。
1人称だと自分のようなタイプはきっと
自分の筆に酔った文章を書いてしまうだろう。
3人称だと自分のようなタイプはきっと
読者の感情をコントロールできているかわからなくなるだろう。
その決心をするために
いくつか言葉を並べるだろう。
そうして数ヶ月してようやく心を決めるだろう。

それから欲がでる。
もっと面白く描けるはずなのに。
なんだか自分が楽しくないぞ。
それから壁が立ちふさがる。
速度は落ちて心が重くなる。

半年抱えてようやく
すべてをやり直す決心をする。
すがすがしい気持ちで構想を練り直す。
まるで家をもう一度建て直しているような気持ちだ。

久しく本を読んでいないことに気がついて
本屋を歩く。
新しい作家の奔放な文章に衝撃を受ける。
そうこうしているうちに
テーマを疑う時がくる。
もはやなんのために書こうとしていたのか
わからなくなる。

たとえば物語を書くとする。
それはこういうことのくりかえしだ。

才能があれば違うんだろうけど。

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