リレーコラムについて

2008

原晋

東急を辞めて、1社お世話になった。
TCCの先輩がやっている会社だった。
取締役だった。

ここではたくさんのことを学んだ。
いいことも、悪いことも。
かなり悪いことも。

初めて競合というものに勝ったのも、この頃だった。
勝てるんだということと、勝ち方があるんだということが、今さらながら勝ってみて初めてわかった。
ただ、仕事は数えるほどしか与えられなかった。
半ばフリーのような環境だった。

1年が過ぎた夏、大学時代のゼミの後輩がメールをくれた。
自分が今いるフリーの集団が部屋を移るのを機に間借りをやめ、残った場所をシェアする人を探しているということだった。

人にはタイミングというのがあると思っている。
それを捉えるか、捉えないかはその人次第だとおもう。
ただ、チャンスがあれば全部打ちたいタイプの私は、だいたいそのタイミングには乗ってみる。
この6年半、よほどのことがない限り仕事は断っていない。

後輩に、すぐに返信した。
「その席、俺が座ってもいいか?」と。

「え?どういうことですか?」
「まあ、肉でも焼きながら話そうや。」

歌舞伎町近くの安いホルモン焼き屋に食事に行き、4つある席の1つは自分が座ることになった。

フリーになることを伝えたのは、それから少し経った朝だった。
もうだいたいわかっていたのだろう。
特に止められるわけでもなく、困るというわけでもなく、あっさりと受け入れられた。
送別会もなかった。

そして、その後輩の弟、後輩の専門学校の後輩女子の2人を加え、方南町というへんぴな場所の古い一軒家でフリーの生活が始まった。
決まっていた仕事は1つだけだった。

ちょうど二人目の男の子がお腹にいた時だった。

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