リレーコラムについて

②「マリン!」

北田有一

※2012年、夏に書いたものです。

いまインドネシアにいます。
すでに1ヶ月ほど。

というのも、
グローバルキャップという社内の制度で
3ヶ月ほどインドネシアで仕事をすることになりました。
電通ネットワーク内のクリエイティブ人材の交流を
おこなうためのものです。

そんなわけで、
インドネシアの首都ジャカルタにある
電通ストラットという会社にいます。

仕事は、ローカルのスタッフと一緒に
日系以外のローカルクライアントを担当しています。
航空会社、プロバイダー、生命保険などなど。

もちろんインドネシア語は話せません。書けません。
ええ、コピーライターです。

でも、こちらでは、
キャッチとタグラインを英語にしたがる習慣があるので、
意外と仕事があります。

もちろんCMのセリフやストーリーは仕方ないので、
一度、英語で書いて、プレゼンするものは、
若いコピーライターに訳してもらいます。
また、クリエイティブ・ディレクターの能力が
それほど高くないので、
現場のまとめ役として仕事を頼まれることもあります。

こんな感じで、急に東京から来たよそ者でも、
温かく、容赦なく、どんどん仕事を頼んでくれるように、
全体としても、仕事の数はかなり多いようです。
人口も増えているし、世界不況の影響もないし、
景気が良い、ってすばらしい。

しかも、インドネシアは
業界全体でコピーライターが不足しているらしく、
コピーライター天国だそうです。
ある程度、仕事ができれば、
フリーになっても仕事に困ることはないらしく、
本当にうらやましい限りです。

ただ、こんなに素晴らしい国ですが、
ひとつだけ困ったことがあります。

貧富の差が、ハンパないです。

1000円のランチを食べる人たちと
100円のランチを食べる人たちが
同じ街に住んでいます。
(電通ストラットの社員は、その中間くらい)

ヴィトンやエルメスが入った
高級ショッピングモールに来ても、
一歩、外に出ると、スラム街です。

昼間でも、ひとりで外の道を歩かないように言われます。
強盗に合います。

オフィスも、滞在しているホテルの目の前にあるのですが、
歩道橋を使って第一京浜2つ分くらいの
大きな道を渡らないといけません。
しかし、その歩道橋も危険すぎて渡るのを禁止されました。
ここ数ヶ月で電通関係者だけで4人くらいが
強盗に合ったそうです。昼の13時でも被害に合うらしい。

というわけで、徒歩3分くらいの距離にも関わらず、
毎朝とんでもない渋滞の中を
10分〜20分くらいの回り道をして、
タクシーで通勤するという謎の行動を取らざるを得ません。
(片道150円くらいなので、毎日乗っても、
財布とかカードを盗られるよりはマシですが)
これが思った以上のストレスです。。。

そんな悩みをローカルのアートディレクターに話したら、
冒頭の「マリン!」という言葉を教えてもらいました。
インドネシア語で「泥棒!」という意味らしいです。

いざという時のために、最初に覚えた言葉です。

みなさまも、ジャカルタで万が一のことがあったら、
使ってみてください。

NO
年月日
名前
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