リレーコラムについて

キリストのはりつけ

佐藤由紀夫

「はりつけになったキリスト」の絵は
世界にごまんとあるが、
実際に「はりつけになったキリスト」あるいは
「はりつけ」そのものを見たことがある画家は
こいつとこいつだけだ。

解剖学の権威であるN教授は言った。

はりつけの死因は何であるか答えたまえ、
失血死?ちっちっ、ちがうな、答えは窒息死。

なんでもはりつけというものは
刺す場所と角度がポイントで、
あばら骨がとぎれた横腹から横隔膜を
貫通するように、肺にむかって
ナナメ上に刺すんだそうな。

もともと肺というものは、
自分でふくらんだりしぼんだりすることはできず、
あばらと横隔膜の内側にぴったりはりついていて
それらが動くことにより
ふくらんだりしぼんだり、呼吸ができるという
しくみなんだそうで。

そういえば
あかちゃんがはじめてこの世に出てくるときは
肺はまだ豆粒のようにちいさく、
よって、あばらもそれにおおじて内側にたたまれていて
そのたたんだスペースに腕がおさまって
生まれてくるんだそうです。だからあたまさえ
通れば肩や腕がひっかからずに出てこられる。

よってはりつけは
その横隔膜に穴をあけてやれば
そこから空気が入り込んで、
肺はかってに縮んでしまい、
いくら呼吸をしようと横隔膜やあばらを動かしても
穴から空気が出入りするだけで
窒息してしまうんだそうです。

で、さいしょのはなし。
呼吸が苦しいので息を吸おうと横隔膜をうごかすと
その穴から空気が出たり入ったりして、
血のりであわがたつんだそうです
そのあわが描かれている絵は非常にすくなく、
実際はりつけをみたとこがあるのは
それを描いた何人かだけであろうとのこと

以上の事柄を
ものすごくうれしそうにはなすN教授。
生粋の変態であることはまちがいない。
なんであろうと
エキスパートに変態は多い。
コピーライターも例外ではない。

えーと
たいへんでしたがあっというまでした。
澤本さん、指名ありがとうございました。
これはそこら辺の人にひょいと
たのめるようなものではないぞ。
といことで、次週は岩井俊介さんにお願いしました。
よろしくお願いいたします。
読んでいただいてありがとうございました。

さとう

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