リレーコラムについて

ぶたのおかあさん

佐藤由紀夫

ともだちの礒崎くんのおはなし。

礒崎くんは幼稚園のころ、
お父さんに送ってもらっていたそうな。

そのお父さんなんですが、
ちょっといいかんじのひとで、
たとえば釣りもしないくせに
おれたお箸を漆で仕上げて、
浮きをつくってみたり、
プレーヤーもないのに
CDを買ってきて
説明書だけはきれいにファイルして、
ディスクはたまにとりだして
みがいてみたり。

そんなお父さんが、
幼稚園の送り迎えの最中、
必ずする話があり、

「おまえの本当のおかあさんは、ぶただ。
昨日もお前が寝た後、玄関までやってきて
返してくれっていわれたんだが、
もうこんなに大きくなっちゃったんだから
返せないっておっぱらったんだ。」

わりとぼーっとした子供だった礒崎も
さすがにこのはなしはいやで、
しかも毎日なので、おかあさんに訴えたところ
おとうさんはしらぬぞんぜぬで、
次の日からお母さんが送り迎えを
することになったそうな。

大学生になったある日、
このはなしを、
笑いながらおやじさんにはなしたところ、
新聞を読んでいたおやじさん、
微動だにせず、背中越しに、
「おまえの本当の母親は九州は熊本にいる。」
と答えたそうな。

最近少なくなりましたよね、
こういう菊次郎さんみたいなおとな。
わたしのむすめにはひとつ
夢をおしつけてみようかな。

さとう

NO
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