リレーコラムについて

SMや~めた

富田克人

ロウソクとムチを捨てました、ということではなく。

Facebookやtwitter(Social Media)を、すこしやめてみたというお話です。

広告業界にいるとソーシャルメディアの話は切っても切れないわけで、
twitterを絡ませたプロモーションの企画や、Facebookの「いいね!」獲得を目標にしたキャンペーン構築なんかをあちらこちらでみんなやっています。

なのでプライベートでも、ソーシャルメディアを使っている人間がおそらくかなりいる。
Web業界の次に多いのが、広告業界なんじゃないかと思うくらいです。

ですが、私、この10月の1ヶ月間、思い切ってやめてみました。

それまでは電車のなかで、トイレで、そして、寝る前の布団のなかで、スマホ片手にFacebookやtwitterをチェックするようなSM人間だったのですが、
この「TwitpicのCTOが30日間ソーシャルメディアをやめてみたら人生変わった話」という記事を見て、
やめてみたのでした。

http://www.lifehacker.jp/2012/09/12092730withoutsns.html

やめて最初の3日間は、禁断症状が出ました。

夜、ひとりぼっちのときに妙に寂しくなりました。
何をしていいかわからなくなって、ついついログインしたくなっちゃうのですが、
そこは「あかんあかん」と首を横に振り、ほっぺを平手打ちしてやりすごします。

4日目以降、ソーシャルメディアのない環境に慣れてくると、自分の注意が違うところに向き始めます。

情報を本や雑誌・新聞に求めるようになりました。
家でゆっくり落ち着いて活字を読む時間が増えましたし、
本屋さんでじっくりとあれやこれやと選びながら、興味のある書籍をまとめて購入したりするようになりました。
(やっぱり出版不況の背景にはWebメディアの台頭による活字媒体の相対的な情報源としての役割の低下があるのですね~)

そして、もうひとつ、変わったことがありました。

心のなかに波風が立たなくなりました。

どういうことか。

休みの日、起きたら昼過ぎで、散らかった部屋の中、何もやる気が起きず、気づいたら夕方。
PCを起動して、Facebookにログインしてみる。

自分は呼ばれなかった会社の同期の結婚式の写真。
はい、疎外感。

友人がアップしている、奇麗な女の子たちとのバーベキューの写真。
はい、劣等感。

大学の後輩からの、出版記念パーティーへのお誘い。
はい、敗北感。

ソーシャルメディア特有の、こういう心のざわつく感じ。
わかっていただけますか?
わかっていただけますよね?
わかっていただける方だけで結構です。

はい、ありがとうございます。

やめてみたら、こういうときのざわざわする感じが、全くなくなりました!

ポジティブな言い方をすると、
自分のやるべきことに集中できるようになりました!!

ローマ帝国時代のストア派哲学者セネカは、著書「幸福な人生について」において、

「ざわめきや騒々しい叫び声に従って諸々方々を放浪し続けているかぎり、われわれの短い生涯も過ちのうちにすり切れてしまうだろう」

「人の集まりから離れるだけでよい、それだけで健康になるであろう」

と語っています。

僕は、ソーシャルメディアを断って、この言葉の意味がよく分かりました。

衆の声が渦巻く場所においては、理性より惰性で、判断・行動しがちになります。

そう。

「いいね!」がなんなのかよくわからないのに、「いいね!」の数を気にしている自分がいました。

あいつの記事に「いいね!」をしてあげたのに、
あいつは僕に「いいね!」してくれてない!
「きーーーーーーーっ!」

末期でした。

でも、1ヶ月、ソーシャルメディアをやめてみて、「いいね!」の数を気にしなくなりました。

あの、「いいね!」がつきまくっているバーベキューの写真を見たときに感じる敗北感も感じなくなりました。

(あ、うそ。ちょっと感じますけど)

だって、かのセネカがこう言っているんですもの。

「誉める者の数が、とりもなおさず妬む者の数である。それが大衆というものだ」

セネカさん、ありがとうございます。

ということで、みなさんも、SM断食してみてはいかがですか?

NO
年月日
名前
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5691 2024.04.20 長谷川輝波 言葉オブザイヤー@韓国の街中
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