リレーコラムについて

コピーライターを続けます。

島田浩太郎

まだコピーライターになりたてのころの話。
朝方まで仕事をしてタクシーに乗ったら、
年輩の運転手さんがバックミラーごしに声をかけてきた。
「お客さん、広告関係のヒト?」
なんでわかるの?と不思議そうにしていると、
「こんな時間にお酒の匂いがしないお客さんだったんで」と
運転手さんは付けたした。
そうか、広告関係者のこの無茶苦茶な時差は
タクシー業界でも有名なんだと思っていると、
「私も以前、広告の仕事をしていたんですよ」と運転手さんは言った。
話を聞いてみると、某CMプロダクションでCMディレクターをしていたらしく、
川崎徹さんと同期入社で、ACC賞の受賞歴もあったそうだ。
「広告は嘘が多すぎる。それが我慢できなかったんです。
そして、杉山さんの自殺がショックだった。」
というのが広告業界から足を洗った理由らしい。

彼がやめた理由はともかくとして、
もし、広告業界から足を洗ったら…と思うことはある。
先日も、そんな話を仲間うちでしていた。
転職するなら飲食店だろ、ということになった。
ラーメン屋さんとか、そば屋さんとかって、
ヒトを幸せにしてるよな、と僕がいうと、
「でもやっぱり、広告でヒトを幸せにしようよ」
とひとりがいった。

かなりクサイけど・・・でもそうだよね。
そういう気持ち、忘れちゃダメだよな。
きっとあのタクシーの運転手さんのまわりには、
そんなこといってくれるヤツがいなかったんだろうな。

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