リレーコラムについて

RUN

鎌田健作

ガキの頃から、ずっと、長渕剛が好きです。

イラストレーターの山根茂樹さんが、コラムを書く前からメールをくれていて、
「オレのリクエストは長渕の話!」と言っていたので、書きたいと思います。

といっても、なに書こう・・・
と思ってすぐに思い出したのは・・・

「RUN」のはなし。

長渕を好きになったのは小学校3年か4年生くらいのとき。
きっかけはテレビドラマ「とんぼ」。
だけど、そんな歳で長渕を好きな奴なんて周りにだれもいるはずもなく。
親父がいるときも「そんなヤクザもんみるな」とテレビを切られたりつけたりのリモコンの奪い合いだった。

5年生になるとき、当時暮らしていた熊本から東京に転校することが決まって、
カマダ少年は、荻窪の小学校に転校した。
はじめの頃は九州弁が通じず「おまえ、何言ってるかわかんない」と言われ、
腸炎になったりもしたっけな。ナイーブな少年だった。

標準語もペラペラになり始めたころ、カマダ少年に
宮内くん(あだ名は、みやちゃん)という友達ができた。
みやちゃんはそのころから元プロ野球選手の清原に似ていて、体も大きく背も高かった。
ある日、みやちゃんの家にはじめて遊びに行ったとき、カマダ少年はびっくらこいた。

「え!? みやちゃんも長渕好きやと?」

部屋中長渕だらけ。CDやらライブビデオやら映画のパンフやらポスターやらタオルやら、
持っている数がハンパなかった。
みやちゃんには歳のはなれた兄ちゃんふたりと姉ちゃんがひとりいて
兄ちゃん達が長渕の熱狂的大ファンだった。
「すっげえ!!みやちゃんち、すっげぇ!!」
ふたりの仲が深まるのにそれほど時間はかからなかった。

1993年のある日。
カマダ少年は、長渕がニューシングルを出すという情報をどこからかつきとめた。
そのニューシングルのタイトルが「RUN」だ。

カマダ少年は家を飛び出し、300メートルくらい離れたみやちゃんの家に走って行った。

ピンポーン。

『おう。かまち(当時のカマダ少年のあだ名)どしたの?』

『聞いてくれ、みやちゃん、長渕がニューシングル出すぜっ』

『ホント!?』

『うん。』

『タイトルは?』

『 「ルン」だよっ!! ルンっ 』

『ルン?』

『アール・ユー・エヌ(RUN)って書いて、ルンっ!!!」

『 かまち……それ……「ラン」じゃねぇ?』

ルンルン気分だった。
新しい英単語も覚えたし。

その後中2になるときに、カマダ少年は
長渕の故郷 鹿児島に転校した。

みやちゃんとは、いまでもたまに飲みに行く。
いま、世田谷にある中学校の野球部の監督をしているそうだ。

みやちゃんはこのあいだ結婚して
結婚式ではやっぱり「とんぼ」が流れていた。

長渕剛。

さいきんは聴かなくなってしまったなぁ。
CDも買わなくなってしまった。
だんだん、ミーハーになってきて、いろんな人たちの歌を聴くようになった。
(いまオトナになって思うけど、あのころのなにかに反抗するような、
コンプレックスの塊のようなころの長渕が好きだったように思う)

でも、それでもたまに、気持ちが弱くなっているときは
しぜんとひとりで長渕を聴きます。たとえば「西新宿の親父の唄」。

やるなら今しかねぇ。

ちなみにサザンは好きです。桑田佳祐も好き。
すごくファンではないけれど。ひとなみに聴きます。
長渕ファンだからといってけっして距離を置いている存在ではないです。

こんどカラオケで
「いとしのいりい」うたう予定だし。

ハッケヨイ制作所
鎌田健作

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