リレーコラムについて

まじめは正義にあらず2

木村亜希

ある画家のかたに、こんな質問をしたことがあります。

絵は、どういう時に描き終わった、完成した、と思うのですか?

回答の内容はもうおぼろげなのですが、いい質問だね、と
言っていただけたことだけ、嬉しく頭に残っています。
何かを作っている時、どこでやめたらいいのかという疑問は、
いつも湧いてくるものだったので。

※生涯ベストしょうむない質問というのは、小学校の理科の時間、
何でもいいから身近な科学にまつわる質問をしてみようというお題に
階段の端っこは、誰も踏まないのにどうして汚れるんでしょう?
と聞いたことなのですが、それは余談。

やるだけのことはやった! と思いたいばかりに、制限時間
ぎりぎりまで席に座っているたちでした。
やめ時を決めるのが下手なのです。

広告には、ありがたいことに〆切りがあります。
仕事も複数まわっていて、ひとつの案件に割ける時間が
限定されているために、どれだけ時間をかけるか? という
ふうにはあまり悩まずにすみます。刺激もあり、並行して
いくつもの商品に関わっていくメリットは、実は多いです。

時間と労力を投入したことだけを正義としてしまうと、
思い入れだけが増殖し、視野は狭くなるわ、慎重になって
決断力は落ちるわ、「やらないほうがよかった」に
近くなることがあります。シンプルな作業を選択するほうが
志が高い、という場合もあると思うのです。

例えば、ものすごく大きなプロジェクトがあって、全然時間も
ないのに、私は今まだ別の仕事のほうに取り組んでいるような時。
自分がそのプロジェクトのクライアントだったらと考えると
すっごく不真面目な話だと思う…と思うんですけど、
実はそのほうがいいこともあるんです。きっと。

NO
年月日
名前
5772 2024.10.04 高崎卓馬 名前のない感情
5771 2024.10.03 高崎卓馬 母のひとりごと
5770 2024.10.02 高崎卓馬 批評と愛
5769 2024.10.01 高崎卓馬 再会の夜
5768 2024.09.30 高崎卓馬 ともだちの木
  • 年  月から   年  月まで