リレーコラムについて

夢の仕事3

柴田常文

昨日は、ごめんなさい。急な出張が入ってしまいました。
楽しみにしてくれている、神奈川の斎藤さん、福岡の
川畑さんをはじめ、激励のメールをくれた皆さん、
ありがとうございました。

では、続けて夢の仕事、第3弾、第4弾を連発サービス!

 ちょっと早めに編集ルームに着いた私は、ボンヤリ
コーヒーを飲んでいた。まだ、スタッフも揃っていない。
と、そこに、静々と、ひとりの女性が入ってきた。
背をかがめて、とても恥ずかしそうにスーッと入ってきた。

私は思わず「あ、ここはね、編集室ですよ。勝手に入って
こられちゃ、こま・・」と言おうとして、息を呑んだ。
ひょっとして、このお方は!!!
そう!まさしく、そのお方に相違なかった。

吉永小百合様!様!(ひとつじゃ、足りないのだ)。

某生命保険会社のCMナレーターとして、吉永様が
やって頂けることになった。出演だってままならないお方
を、何とゼイタクな!と思うあなたは、正しい。
フツーは無理。門外不出。そんなことができたのは、
当時、その会社と吉永様が契約を
結んでいたためであった。頼んでみるものだと、
つくづく思ったものであった。

初めてま近で見る吉永様は、
遠くで見ていた時と同じであった・・なあ(シミジミ)。
楚々として、あくまでも清らか。キリッと聡明、
知性と教養、それでいて、チャーミング。で、えーーと、
なんて言ったら分かってくれるかなあ・・とにかく、美しい。
美美美美美美と、おもわず文字も走ってしまう。

私はその時、「女学生」というキャッチが浮かんだ。
「女子高生」でも「女子大生」でもない。
そういうチャラチャラ、ギャルギャルとは、根本的に違う。
「じょ がく せい」なのだ。

企画の説明中、一言も発せず、ジーっと聞き入っている。
目の前に、吉永様。私の声も、一オクターブ上ずって、
喉がカラカラになっている。
「わかりました」と、肉声でおっしゃって(あたりまえだ)
MAルームに消えた。

なんと!60秒にも及ぶナレーションを、57秒!
一発でキッチリ決めてしまった。
「いかがでしょう?」と。キッチリ決めましたわよ。
ハンパな注文は受けつけませんことよ。というお声。

「あ、はい・・・えーと」
少しでもご一緒したい一心で
「も、もう少し短いバージョンも・・」とお願いしたら、
つぎは、54秒で、バシリ!

「け、けっこうで、ございます」で、
オシマイになってしまった。吉永様は、アッという間に
風のように消えてしまわれたのでありました。

ああ、もう少し、同じ空気を吸っていたかったなあ・・・

                       つづく

 

NO
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