リレーコラムについて

青少年対策

玉川健司

コピーライターになるまでは、
ノベルティの営業をやってました。
社員30人くらいの小さな会社でした。
そのときの新人時代の話。

ある朝、出社すると
大きな、大きなカバンを
おじいさんが、いや
社長がニコニコしながら、
私に手わたして言いました。

「キミに、このカバンをプレゼントします。
キミの好きなものを入れて
キミの好きなところへ売ってきなさい。
キミの好きな仕事をやりなさい」。

聞こえはいいですが、
つまりは、
「オマエどっか行って、なんか売って来い!」
ということですな。

とりあえず先輩に相談したんですが、
「スナック行ってマッチ売ったけど、
回収が大変だった」とか、
「何かの団体に営業に行たら
実は新興宗教だった」とか、
参考にしたくない答えばかり返ってきました。

で、とにかく「カネ払いは確実」ということで、
市役所に行きました。

さて、飛び込み営業開始です。
しかし、大学卒業したての軟弱者が
営業できるほど世の中、甘くありません。
見知らぬ人に向かって
わけも分からず、
「なんか買ってください」というのは、
昔、TVでやってた「電○少年」の
アポなし取材を
彷彿させるツライ行為でした。

「もう辞めよう」
そう思ったとき、市役所の
一つの部署の名前が目に入りました

「青少年対策課」

そうだ、ここはオレみたいな
迷える青少年を
邪険に扱うはずがない!
営業に行ってみよう。

その目論見は見事に当たりました。
「青少年対策課」は
一人の若者が失業者になる
ことを防いだのです。

海外研修用のおみやげ用フロシキと
ボールペンにライトが付いた
「ボールペンライト(そのまま)」という
グッズを売りさばきました。
全部で9万円。

その月の売上げも、その9万円だけでした。

ああ、仕事をとってくるのってタイヘン。
私はいつでも営業の方々のミカタですよ。
だから、仕事ください。

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5431 2023.01.31 原麻理子 コピーライターで大学院生です
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