リレーコラムについて

好奇心がない

秋元敦

好奇心がない、と昔からよく言われた。
映画のロードショーは観ない。
人にすすめられた本は読まない。
ファッションにも興味がない。
TVの人気番組やドラマをほとんど観ない。
だから人の名前もよく知らない。

はじめてコピーライターとして入社した会社で、
大先輩のCDにこう言われた。
「世の中のあらゆるものに好奇心を持っていないと、
決していいコピーライターにはなれないよ」
僕はその言葉を、ほとんど無視した記憶がある。

他の会社では、ある先輩にこう言われた。
「海外にもどんどん行くべきだ。僕は半年間
イギリスで暮らしたし、毎年休暇は必ず海外へ旅行する。
自分の小ささが分かるし、価値観も変わる」
でも、その先輩のコピーはちっともいいと思わなかった。

また他の会社では、フリーのデザイナーにカラオケへ
連れていかれ、ひどく怒鳴られた。
「歌わない?この歌を知らない?おまえ、コピーライターのくせに
今どきカラオケやらないなんて、ライターやめろ!」
そいつが歌いはじめたとき、無言で店をでた。

これらはもう、ずいぶんと昔の話。
今はカラオケだって、好きな人といれば歌う、何曲も何曲も。
やっぱり、仕事のためと言われたら、なにも好きになれない。
コピーを書くことや広告が好きでいれば、自然にいろんなものを
好きになっていくものだ。

僕を最初の会社に入れてくださった、
宣伝会議コピー養成講座、博報堂の佐藤孝先生。
先生は、入社が決まった日に、僕を教壇の所へ呼び、
他の受講生を前に、こう言ってくださった。
「彼は、そこそこの所までいくんじゃないかと、僕は思っている」

僕は、この言葉を強く信じて、ここまできた。
そして、これからも信じていくつもりでいる。
まだ、そこそこでもないと思うし、
そこそこでは寂しい気もするから。

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