リレーコラムについて

好きなものに嫌われる悲しみ

大杉陽子

温泉が大好きです。
温泉オタクの友達がいて、
彼に率いられ全国あちこちの湯処を
仲間たちと行脚してきました。

彼は温泉の中でも特に野湯系を攻めるのが好きで、
そこに何かが湧き出でていれば
あらゆるところで服を脱ぎます。
例えばそれが「泥の水たまり」らしきものであっても、
国道沿いの「小川」であっても、
藻らしきものが浮いている「池」であっても、
雪中の、ぬるいというよりむしろ冷たい「泉」であっても…。
そんな彼を、私たちは畏敬の念をこめて
「カリスマ御大(御体)」と呼んでいます。

温泉といっても色々ありますよね。
硫黄がぷんぷん香る白濁の湯とか、
肌つるつるのアルカリ系の湯とか、
酸が強いピリピリ系の湯とか、
塩系、鉄系などなど。
それから、山の中、滝、川などの野湯系、
自然の景観を楽しむ露天系、
昔ながらの雰囲気を楽しむ鄙びた宿系、
村中の人が集まっている温泉センター系など
好みも人それぞれでしょう。

特に私はつるつる系の湯が大好きです。
福島県の岳温泉、群馬県の小野上温泉、下田の観音温泉などは
つるつる度合いでも郡を抜いていると思います。
つるつる天国の和歌山県をまだ攻めていないので、
今死んだらとても悔やまれます。
あと柔らかい温泉も大好き。
万座温泉は白濁ですがとても柔らかい。
このまま春まで浸かっていたい〜と思わせる名湯です。

しかし、これだけ私は温泉を愛しているのに、
私の体は温泉に弱いらしいのです。
硫黄の香りたちこめる白濁の温泉は要注意。
調子に乗ってあと10分、あと5分…と入っていると
かなりの確立で「湯あたり」します。
それから「お肌きれいになれ〜なれ〜」と
顔にぴしゃぴしゃ温泉を摺りこんでいると
「湯ただれ」を起こしてしまうことも。
(温泉の成分は、入っている時よりむしろあがった後に
肌にしみこむらしいので、湯上りにちゃんと洗い流せば
大丈夫なようです。でも洗い流すなんてもったいない!)

好きなものに嫌われることほど悲しいものはありません。
今年の夏、「マンゴーに埋もれてマンゴー死にしたい!」と思うほど
マンゴーを好きになったのに、
ある時くちびるがボロボロにかぶれてしまいました。
マンゴーは「漆科」だそうです。
みなさんもご注意を。

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