リレーコラムについて

菊の花

今井容子

なんだか急に秋らしくて、爽やかさと一緒にどこか寂しさも
感じながら歩いていたら、いつもの花壇に菊を見つけました。

どなたがお世話しているのか、
ちょくちょくマイナーチェンジする通勤途中の花壇。

突如プチトマトの苗が植えられたり、何かの苗木も仲間入りしたり、
花壇というよりは、細長のミニ畑。たまに、茶色の猫もまるまっている。
最近の私の気になるスポットです。

幼い頃、母が

「好きな花は、菊。」と

言うのを

「菊!?」と

思っていました。あの頃、私にとって菊はまず
「お仏壇の花」だったし、おばさんっぽくて、地味で。
それを好きという母が意外で。意外ではありつつ、
「薔薇」とか「ゆり」とか「ガーベラ」とか
言わないところが、いかにも母、という感じで。
私はそのときの会話をとてもよく覚えているのです。

そういえば、
お盆に合わせて部屋に飾っていた菊の花が、
まだ枯れずにいます。大抵の花が生けてから
1週間すこしで枯れてしまうのに。
2週間も元気でいます。

菊には、それはたくさんの種類があり細かく細かく
名前がついていることを最近になって知りました。
平安時代、菊の節句ができるほどに愛されていたことも。

茎がしっかりしていて、まっすぐで、
香りが清々しくて、丈夫で。

「なんかいいのよね。」と

言っていた母の気持ちが
わかりかけたかもしれない朝です。
おはようございます。

藤曲さん、バトンをありがとうございました。
丁寧でやさしさあふれる連絡に感激でした。
「新潮文庫の100冊」で今年、
新人賞をいただいた今井容子です。
1週間、どうぞよろしくお願いいたします。

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