リレーコラムについて

名前のない感情

高崎卓馬

ときどき昔の失敗をふいに思い出す。

なんの脈絡もなく、

すぐにゴメンと言えなかった

あの瞬間を思い出して

胸の底の砂地を

後悔の残骸が引き摺られて跡を残す。

独り言のようにゴメンといくらつぶやいても

それはなかなか消えてくれない。

言わなくていいことを言ってしまったりして

誰かを不用意に傷つけてしまったことがほとんどだ。

跡を時間が消してくれるまで

後悔の気持ち悪さに耐えるしかない。

ひとことも喋らなきゃよかった。

出かけなきゃよかった。

そんなことだらけだ。

 

年を重ねるとこういうことに鈍くなる気もする。

そうじゃないと耐えられないくらいの数と量になるからか。

それがいいことなのか

残念なことなのかはわからない。

 

この感情とか感覚って

どこかで誰かが言葉にしたり名前をつけたりしているのだろうか。

きっと平安時代とかにもう言葉になってたりして。

 

名前のない感情についてときどき考える。

高崎卓馬の過去のコラム一覧

5772 2024.10.04 名前のない感情
5771 2024.10.03 母のひとりごと
5770 2024.10.02 批評と愛
5769 2024.10.01 再会の夜
5768 2024.09.30 ともだちの木
NO
年月日
名前
5903 2025.06.15 藤曲旦子 令和版!とある街で聞いた会話 (ほぼ原文)
5902 2025.06.13 藤曲旦子 外の世界にでたコピー
5901 2025.06.11 藤曲旦子 今、話しておきたいこと
5900 2025.06.10 藤曲旦子 変わらないもの
5899 2025.06.08 小川祐人 まぐろ
  • 年  月から   年  月まで