リレーコラムについて

人生を例える

木村透

人生を何かに例える話はよくあるが、

僕が最も共感できるのは、哲学者の永井均氏による

「人生は一種のサプライズ・パーティー」というものだ。

 

「サプライズ・パーティーというものをしてもらったことはないが、

もしされたら喜びももちろんあるではあろうが

間違いなく苦痛も感じるだろう、私は。

苦痛のほうが多い人もいるはず。喜びしか感じないタイプの人は

そういうことに気づかない可能性も高い。

というわけで、生まれて生きるということは、たとえ客観的に見て

どんなに幸福な人生であったとしても、

一種のサプライズ・パーティーであることに変わりはなく、

苦痛な人には苦痛なのだ、ということになる。」

(永井均「独自成類的人間」より引用)

 

僕もサプライズ・パーティーをしてもらったことはない。

でも、真っ暗闇がいきなりパッと明るくなり、

みんなに拍手されて「おめでとう!」と言われて

なぜか人生が始まり、それから長いサプライズ・パーティーが

ずっと続いていくという例えは、とても共感できる。

 

ここでポイントなのは、

「もしされたら喜びももちろんある」「たとえ客観的に見てどんなに

幸福な人生であったとしても」という点だろう。

つまりこれは、「サプライズ・パーティーはうれしくない」とか

「生きていくことはつらい」という話では全く無い。

 

勝手に自分が(あるいは世界が)始まってしまうという空前絶後のサプライズ。

そしてパーティーはつづく。

NO
年月日
名前
5629 2023.11.28 木村透 人生を例える
5628 2023.11.27 木村透 気がすんだら帰ってくる
5627 2023.11.24 板東睦実 批評
5626 2023.11.23 板東睦実 お休み
5625 2023.11.22 板東睦実 最上級表現
  • 年  月から   年  月まで