リレーコラムについて

シバンがいた夏

石橋枝里子

今、わたしの魂は、富士山です。
我ながら、だいぶ進みました。

昼間は、電通の恒例行事で
富士登山をしていた
新入社員たちに混ざってみたとか。
(なぜ、体と魂が離れているかは、
一昨日のコラムを参照ください。)

そんな魂が抜けた状態で、
ここ数日、家にいるときは、
3日前に福岡から東京へと
やってきた荷物の
荷ほどきをやっています。

すると、ああ、これ、あの時の。
という思い出スイッチが入り、
全然進みません。

とある同棲相手を、想い出しました。

ちょうど3年前くらい、
福岡に来て半年くらいの頃です。

そいつは、
ポルチーニが好きでした。

ドライフルーツやナッツ、
乾きものが好きでした。

葉っぱや花も食べました。

ついには、紙も食べました。

私が働いて買ったあらゆるものを、
だらだら一日中食べていました。

そして、ずうずうしくも、
家族を連れてきました。

もう我慢の限界です。

殺しました。

一家皆殺しです。

やりきったと思ったら、
生き残りが現れるので、
数日かかりました。

本当に悪い虫でした。

死の番人という
名前の由来を持つ、
シバンムシ。

もう一生会いたくない一心で、
私の生活は一変しました。

一人暮らしなのに、
大型冷蔵庫を購入。
米や調味料は、ほぼ冷蔵庫へ。

乾物類の平和を守るために、
タッパーの密閉力を調べ、
比較検討をしながら、
大量のタッパーを購入。

※本来、タッパーとは、
タッパーウェア社の容器を指すようです。
ただ、保存容器の一般的な呼び名として
わかりやすいので、
ここでは、タッパーと呼びます。

ご存知でしょうか?

世は食品保存容器で
あふれていますが、
きちんと密閉できている容器は、
少ないんです。

タッパー屋を、
はじめそうになりました。

あまり聞き慣れない虫ですが、
みなさん、ゴマのような風貌の虫を
見つけたら、即つぶしてください。

ときどき飛ぶ!
という反則をしますが、
基本的にはヨチヨチとしか進みません。
でも、気を許したら最後です。
ものすごい繁殖力です。

例えば、ココアの粉や
小麦粉などにも、
少しの隙間があれば
ヤツがやってきます。

さあ、奥さん、
今すぐ完璧な密閉をするか。
冷蔵庫へ。

ワイドショーの家事コツコーナー
みたいになってしまいました。

この駄文をうっかり読んでしまった方が、
ゴマのような虫に出会ってしまった時に
お役に立ったら、うれしいです。

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