リレーコラムについて

庭に生えてるグロテスクなキノコを食べてみたら美味だった。

横道浩明

それは15年ほど前の春のことでした。

庭いじりをしていたカミさんが
「気持ち悪いモノが生えてるので引っこ抜いてくれ」と言ってきた。
庭に出て、クリスマスローズの根元あたりを掻きわけてみると、
なるほど、何やらイタメシ食材のトリッパのような見映えの
気味の悪い塊が4つほど鎮座している。
高さにして10cmくらいのサイズだろうか。
ウルトラマンの怪獣で、こんなのいたっけなあ・・・。

引っこ抜いた怪獣4匹を眺めながら、
私は、ふと思いつき、ネットで調べてみた。
「アミガサタケ。英語でモレル、仏語ではモリーユ。
フランス料理などの高級食材になるキノコで、
桜や銀杏の木の近くに生えやすい。人家の庭などにも生える」
おおおお、高級食材だと!?
こんな姿で、キノコなのか。
しかも、日本でも採って食べてる人がいるらしい。

「これ、食ってみるわ」と私。
「えーーーっ!」と驚くカミさん。
そりゃそうだ。庭に生えてた得体の知れない物を食べてみるなんて。
しかも、キノコとなれば、よけいに危なっかしい。
私はネットで調べた資料をカミさんの前に並べて、
この気色悪い物体が高級食材であること、
似た姿の毒キノコはないことをプレゼンした。
「わかりました。私も食べます」とカミさん。
「えーーーっ!」と驚く私。

今から考えると、キノコの知識がほぼゼロの状態で、
自分んちの庭に生えた初見のキノコなんぞを、
よく、いきなり食べたもんだと思います。

私がその時につくった料理は、旬のアスパラガスを使った
「モリーユとグリーンアスパラのクリームソース煮」。
皿の上にキレイにあしらった未知の食材を前にして、
ちょっとした緊張感を伴いながら、カミさんと二人、
そのアミガサタケとやらを口の中に運びました。
「う、うまい」
そう、庭に生えていた不気味な姿のキノコが、
ものすごく美味しかったのです。

「スゴいな、キノコって・・・」
この一件で、キノコへの興味が一気に爆発しました。

私はキノコ本を何冊も買ってきては、知識と情報を頭の中にたたき込みました。
ただし、自然を相手にする時にモノを言うのは、やはり「経験」なのです。
経験を重ねることで一人前のキノコ師になれる。
先達曰く「キノコは、何度もアタって覚えていくもんだ」と。

知っていれば高級食材。知らざれば単なる気味の悪い物体。
その奥地には、毒と美味が隣り合わせにある世界が広がっている。
私は、未知にして魅惑の領域に興奮していました。
その年の夏以降、私は、菌界にズブズブにハマっていくことになるのです。

さて、冗長すぎる文章にはキノコも生えないと言いますので、今日はこの辺で。

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