リレーコラムについて

嘘とマコト

石本香緒理

「私、○○くんのこと好きになったけぇ、好きにならんでよ。」

 

小学生の頃、

女子たちがこぞって言い合っていた迷言です。

お相手の意思も確認していないのに、

なんなんでしょうね、このマーキング。

もちろん、私も言ってました…笑。

 

“○○くん”が被るだけで、友達関係は険悪になる。

別グループに属する女子同士での被りならまだしも、

仲良しグループ内で被ると、もう悲惨。

 

でも、子どもの頃って

みんなが好きになる男子は、たいてい決まってますよね。

足が速いとか、面白いとか、顔がかっこいいとか。

人気な男子、モテる男子は限られる。

だから、被らないことなんてない。

 

6年生のある日、仲良しグループの中でも特に仲のいい親友と

同じ男子・Aくんを好きになってしまいました。

お互い譲らずで。

親友だからこそ負けたくない感、炸裂。

Aくんと同じ係になろうとしたり、同じ班になろうとしたり、

お互いに画策する毎日。

 

だんだんとAくんのことが好きという気持ちより、

とにかく面倒臭いという気持ちが大きくなった私は、

考えました。

 

すべてを解決できる方法を。

親友が安心し、私たちが平穏な暮らしを取り戻せる得策を。

 

それは、

担任の先生を好きな相手として設定することでした。

 

担任の先生は、私たちより、ひとまわり上の24歳。

名前は、マコト。

ドラマに出てきそうな熱血教師キャラで、

スポーツマンで、かわいい顔をしていて、

みんなから慕われていました。

だから「先生が好き」という嘘は、嘘っぽくなく、

何より誰とも被らないし、今後被ることもなさそうだと思いました。

先生のことが好き島は、安住の地だったのです。

 

予想通り、親友は「先生が好き」を信じてくれて、

険悪なムードは消え、私たちは楽しい毎日を過ごしました。

めでたし、めでたし。

 

 

というのは、束の間。

 

暗示って、怖いです。

嘘で言ったことなのに、本当に先生のことをどんどん好きになっていく。

12歳、24歳への本気の恋です。いや、もう愛でした。

小学校を卒業した後も数年間、

「先生が好き」の呪縛から逃れられず、

恋わずらいの日々が続きました。

 

そして、もっと怖いのが、

嘘がマコトになり、いまや私の趣味嗜好になっているということ。

 

枯れ専。

子どもの頃の原体験が、いまも、私の中で生きている。

キョワイ。

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