リレーコラムについて

吉岡里帆のまるちゃんは可愛い、という話。

和久田昌裕

「ナイフの金額は500000です」

 

後半へつづく、とキートン山田的な締めをしながらまたも寝かせてしまった男、

それが和久田なのである。連休三日目の朝です。おはようございます。

それにしても吉岡里帆さんのまるちゃん、可愛いっすね。

 

小学校高学年より、紙と鉛筆とサイコロで様々なゲームを作りながら、

一番ゲーム性の高いものは何か?と考え続けた結果、行き着いた一つの結論は

「シンプルなランダム性」でした。つまるところ射幸心を如何にして煽るか。

 

中学校に入り1年6組という一度コミュニティがリセットされたタイミングで、

クラスに持ち込んだものは「競馬ゲーム」

A4用紙に定規とコンパスで書かれた6頭立てのコースを、サイコロで馬が走る。

それだけだと偏りが生まれないので、レース毎に適当にマス上に○と×を描く。

○はサイコロをもう一回、×は一回休み。そして単勝・連勝複式でそれぞれベットを募る。

レースは休み時間の10分間、ベットは授業中、つまり先生の目を盗んで賭ける馬番の

メモが僕のところに集まってくるわけです。そして全ての賭けを合算しオッズを計算。

休み時間になるとみんなが集まってきて、僕がサイコロを振るのに一喜一憂する。

 

ちなみに、賭けているのはもちろん現金ではありません。

自宅にあった、やらなくなった人生ゲームの紙幣の裏に「和久田」の判子を押した

通称「和久田マネー」というものを参加者に最初に配りました。

和久田という姓は当時、というか今もだと思いますが市内に親族以外おらず、

偽造防止にもなっていた。誰もシャチハタ持ってませんからね。

 

その競馬ゲームがシンプルながらクラス中の男子がハマるのを見計らって、

投入した第二のゲームが「ルーレット」

赤と青のサイコロを同時に振ることで、11〜66までの36通りを作り出し、

そこに1点賭けや4点賭け、列賭け、奇数偶数賭けなど様々なオプションを用意し、

和久田マネーを賭けれるようにした。

すると授業時間に競馬にベットし、休み時間はルーレットで遊ぶという、

中学生としては明らかにダメなカイジ的な人間が多数量産されるわけです。

ざわ、、、ざわ、、、

 

そして投入した第三のゲーム。「闘技場」

これは、自分のアバターをつくり(もちろん当時はそういう呼び方をしてませんが)

そこにサイコロの1〜6のところに購入した「武器」を装備することで相手に

ダメージを与えるというとてもシンプルなゲームなのですが、

その武器の設定をとにかく細かくした。数百種類は用意したかな。

同じ効果の武器でもネーミングを変えることでキャラクタライズできるわけです。

そして耐久力(ヒットポイント)やマジックポイントもお金で買えるようにした。

するとみんな、競馬やルーレットで稼いだお金で、

自分のアバターを強くすることに没頭しはじめました。

 

その頃3つのゲームのプレイヤーは、1年5組〜8組という同じB棟の男子ほぼ全て。

なので80人くらいがプレイしていたのですが、そうなると別の問題が発生します。

 

和久田マネーの枯渇です。

 

すでに、自宅に人生ゲームがある同級生の何人かに紙幣の拠出をお願いしていたのですが

それだけでは到底、3桁にもなろうかというプレイヤーの現金の流通量には足りない。

そこで考えたのが「銀行をつくる」ことでした。

その頃、競馬場運営、ルーレット運営、闘技場運営を5〜6人の組織で回していましたが

新しく、枯渇しかけた現金の代わりに数字上のお金を取り仕切る機関をつくりました。

それが「たっちゃん銀行」。あ、銀行の名は付いてませんでしたが便宜上そう呼びます。

級友のたっちゃんが、プレイヤーそれぞれが持つ通帳と、銀行台帳を照らし合わせて

和久田マネーをクラウド上でやり取りする(もちろん当時はそんな呼び方してません)

銀行開設当初は、現金枯渇の問題が解決され、このまま3つのゲームは永劫続くのだと思いました。

 

ところが何が起きたか。

 

「モラルハザード」と「ハイパーインフレ」です。

たっちゃんはそもそも、グループB(ちょいヤンキー)に所属していました。

だからというわけではないのですが、同じグループの人間に裏で賄賂を拠出し始めた。

つまり仲間内の人間の資金をこっそり増やし始めたわけです。

いや、こっそりというか、もう露骨に。そりゃ中学生ですもん。みんな馬鹿です。

 

で、数人のユーザーが突然お金持ちになるとそのお金はすぐさま周辺のユーザーにも流れます。

なんせたっちゃん銀行は造幣局と銀行が一緒になってるようなガバガバ組織。

今思うと、チェック機構というか第三者の管財人を入れておくべきだったと思いますが、

結果的にインフレが起きます。一番安い武器「ナイフ:相手に5ダメージを与える」

が、ゲーム当初は5WM(和久田マネー)だったのが、最終的には500000WM。

ゲームバランスは末期のドラゴンボールのごとく崩壊しはじめます。

 

結果的に他にもいろんな事件があり、

・体育の授業中にA棟のヤンキーがゲームのデータを盗んでハサミでバラバラにしてしまう事件

・授業中にサイコロを振る生徒が続出で首謀者として職員室に呼ばれてしまう事件

などが起き、数ヶ月でグループDの反乱は鳴りを潜めるわけですが、

当時スマホとかなかった、というかうちの街にはコンビニすらなかった時代に、

経済とは何かということを考えさせられるいい経験になりました。

 

といったところでコラムを締め、次の人にバトンを渡すのはなんなので、

一旦ここで区切ります。本日、もう一度更新しますね。

では、またあとで。

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