リレーコラムについて

人生を例える

木村透

人生を何かに例える話はよくあるが、

僕が最も共感できるのは、哲学者の永井均氏による

「人生は一種のサプライズ・パーティー」というものだ。

 

「サプライズ・パーティーというものをしてもらったことはないが、

もしされたら喜びももちろんあるではあろうが

間違いなく苦痛も感じるだろう、私は。

苦痛のほうが多い人もいるはず。喜びしか感じないタイプの人は

そういうことに気づかない可能性も高い。

というわけで、生まれて生きるということは、たとえ客観的に見て

どんなに幸福な人生であったとしても、

一種のサプライズ・パーティーであることに変わりはなく、

苦痛な人には苦痛なのだ、ということになる。」

(永井均「独自成類的人間」より引用)

 

僕もサプライズ・パーティーをしてもらったことはない。

でも、真っ暗闇がいきなりパッと明るくなり、

みんなに拍手されて「おめでとう!」と言われて

なぜか人生が始まり、それから長いサプライズ・パーティーが

ずっと続いていくという例えは、とても共感できる。

 

ここでポイントなのは、

「もしされたら喜びももちろんある」「たとえ客観的に見てどんなに

幸福な人生であったとしても」という点だろう。

つまりこれは、「サプライズ・パーティーはうれしくない」とか

「生きていくことはつらい」という話では全く無い。

 

勝手に自分が(あるいは世界が)始まってしまうという空前絶後のサプライズ。

そしてパーティーはつづく。

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