リレーコラムについて

セミになった妻

嶋野裕介

いまでも冬になると思い出す。

 

それは、忘れもしない2010年の12月。

残業でテッペン過ぎてから家に帰った私の耳に響いたのは、

セミの鳴き声だった。

 

「セミ・・・?12月なのに。」

 

リビングが近づくにつれ、その声は大きくなる。

 

勇気を出して扉をあけたとき、

そこには、

 

家の柱につかまって、セミの鳴き真似をする妻がいた。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

いままで出会った中でいちばん面白いのは妻だ。

(そのときも酔っ払った勢いで、セミのモノマネを練習したくなったそうだ。)

 

 

とにかくお酒が好きで、この前も缶のレモンハイを「薄い」と文句をいって、

別のレモンハイの原液でわっていた。

いろんな意味で心配だ。

 

 

そんな妻の酒の場での数ある名言の中で、ハッとしたことがある。

 

「わたしは、命令口調の問題は解かない。」

 

妻は、あまりお勉強がお好きではなく、

いまでも卒業できない夢を見るほどテストにトラウマがあるらしいのだが、

それらはすべて「テストの問題文の語尾」にあったそうだ。

 

「以下の問いに答えよ。」

「途中の計算式も含めて書け。」

「Write your answer.」

 

 

・・・そう言われれば、確かにテストは命令形が多かった。

義務教育は強制なのに、そのやり方まで命令されたらたまったもんじゃない。

 

人間なんて、言い方ひとつで全然変わるんだから、

言葉の語尾一つまでちゃんと考え尽くしてから書くようにしよう。

いい気づきをもらったな、と思った。

 

 

そう思った翌朝、勉強をちゃんとやらない娘に妻が叫んだ

 

「こらぁ!!ちゃんとやれって言ってるだろ!」

 

 

こうして、悲劇は繰り返されていく。

 

 

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次は、三島くんにバトンタッチします。

 

愛想はあまりありませんし、

人にお世辞とか言ってるのを聞いたことありませんが、

とにかく本物のコピーライターだと思います。

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