リレーコラムについて

お笑い芸人になりたかった

瓜谷優紀子

「お笑い芸人になりたかった」

お笑いは、私に平和を与えてくれるものでした。

子どものころ、誰かともめるのが嫌いだった私は、
笑いに逃げるという術を見出しました。

誰かともめそうなとき、
どうしたらこの人が笑うのかを考えます。
見事、笑わせることができると、回避成功です。

そんなお笑いのおかげで、
平和に学生時代を過ごせていた私は、
周りにそそのかされ、
例の「やってみればいいやん!」精神が発動。

恥ずかしながら、お笑いもやってみた時期がありました。

相方を用意して、
ネタを用意して、
舞台に立って。

相方はボケをとばし、
私はフォローできず、
びっくりするくらい静かになった会場。

トラウマです。

私は、お笑い芸人にはなれませんでした。

そんなことを思い出しながら、
お笑い事務所への出向をきめた私は、
広告業界から少しの間、距離を置いていました。

広告とは違う
頭と体の使い方で戦う日々。

一つ、印象深い仕事がありました。

お笑い賞レースの運営のお仕事。
素人から若手芸人まで出場するその賞レースの2回戦、
1日400組ほどのお笑いを、ただひたすら見るというお仕事でした。

厳密にはネタ中の写真を撮る仕事だったのですが、
2分のネタ尺のうち、仕事は5秒で終わるので、
のこりの1分55秒は暇です。

これまで浴びたことのない量のネタを浴びながら、せっかくなので考えます。
自分ならどんなネタで戦う?

設定がありきたりだとウケない。っぽい。
丁寧にふりを入れすぎるとオチもなんとなく読めてしまってウケない。っぽい。
かといって、ふりを雑にすると置いてかれてウケない。っぽい。
設定をぶっとばしすぎると理解に時間がかかる分、
世界観と納得感をだすために、かなりの演技力が必要になる。っぽい。

うーん、なかなか厳しい。
アマチュアにはとくに。

結局、
設定はわかりやすいものにしつつ
切り取るシーンや登場人物でぶっとばす
ということなのかなと思いました。

広告だと、
尺が短い分どこでウケを狙うのかのスピード勝負。
だれも真剣にみていないので、オチを予測されたりはしにくいものの、
よくある設定(構成)だとウケないし、
設定をぶっとばしすぎると、商品まで落とすのには技術が必要。

そういう意味では、
ネタづくりと、広告づくりは似ているところがあるのかもしれません。
(異論はめちゃくちゃ認めます)

結局、
その賞レースはプロ9組とアマチュア1組が決勝に進出。

優勝したのは、アマチュアでした。

会場で一番ウケていた彼らのネタは「地方銀行のハロウィン」
渋谷のハロウィンではなく、地方銀行のハロウィン。

ここに着目できる人間でありたいものです。

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