リレーコラムについて

「カタギの人から電話しろ」

佐藤舞葉

A先輩は話の順番や段取りにはうるさかった。

そんなA先輩の教えの中でも、

忘れられない一言がある。

 

「まず、カタギの人から電話しろ」

 

A先輩のいうカタギの人とは

「定時で帰る仕事の人」のことである。

社内でいうと、事務スタッフ、コーポレート部門、偉い人、などがこれに該当するだろう。

社外でいうと、これはまちまちだが、海外の取引先、版権に関する窓口、スタジオの予約担当者、などがあげられる。

 

「カタギの人から電話しろ」

というのは、

まず定時がある仕事の人に連絡・相談することを優先しろ、

という意味だった。

 

当たり前じゃないか。

と思うかもしれないが、

私はその当たり前ができていなかった。

私は当時ふつうにアホだったので、

だらだらと別の用事を済ませている間に

確認すべき担当者が帰っていたり、

スタジオの窓口が終了したりしていた。

アホだった。

 

「営業時間が終わったら、店に電話かけても誰も出ないのは

当たり前のこと。自分がちょっと遅くまで仕事してるからって

他の人もそうだと思うのは大いなる勘違いである」

A先輩から教わったことだ。

 

「カタギの人から電話しろ!」

仕事の段取りを考えるとき、いつもA先輩のこの言葉が心に浮かぶ。

「カタギってなんやねん」とかちょっと思いながら。

 

 

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