リレーコラムについて

詩の2

直川隆久

喫茶店で自分の注文した品がいつまでたってもこないので

オーダーを忘れているのではないかと確かめたら

ウェイトレスに「あ」と言われただけで

謝りもされなかった男、

松葉杖で電車に乗りこんで

かなりよろよろとし通しだったのに

終点まで誰からも席を譲られなかった男、

何百枚もCDを買って応援していたアイドルが

自称青年実業家と妊娠済み結婚をしたというニュースをきいた男、

エレベータの出口で「開く」のボタンを

最後の客が出るまで押していたのに

誰からも礼をいわれなかった男、

フェイスブックで誕生日メッセージを送った相手から

自分の誕生日にはメッセージが来なかった男

彼らがどのような偶然か

とき同じくして叫んだ。

「この国は悪い方向にむかっている」

その声は響きあい、

共鳴しあい、

地鳴りとなってあたりを包んだ。

そして空には漆黒の雲が立ち込め、

豪雨と雷雨の轟はその地鳴りに不穏な和音を重ねた。

のちの歴史で「おとこ革命」と呼ばれる革命、

その前夜のことである。

NO
年月日
名前
6078 2026.04.07 松村紘世 イチゴ味の味
6077 2026.04.06 松村紘世 坊主
6076 2026.04.05 棚橋直生 三つ子の魂百まで
6075 2026.04.01 棚橋直生 #PR 松茸の花言葉は「ひかえめ」です。
6074 2026.03.31 棚橋直生 しまったしまった島倉千代子。
  • 年  月から   年  月まで