リレーコラムについて

クリエイティブ魂

藤本毅

それは俺が三十路をとっくに過ぎた、
ある冬の夜のことだ。

例によってぐでんぐでんになり、
例によってどうにかこうにか、
俺は我が家にたどり着いた。

明け方4時。
マンションのカギを取り出し、カギ穴に入れる。
開かない。

三十路をとっくに過ぎた俺は、少しも慌てない。
冬場、カギ穴が凍結するという話はよく聞くもんな、
と泥酔状態で5%しか機能しない頭で考える。
再び、回す。
開かない。
何度チャレンジしようが俺んちのドアは、
まるで鋼鉄仕様の処女のごとく硬く閉ざされたままだ。

三十路をとっくに過ぎた俺は、それでも慌てない。
家の中では、同居人が寝ているはずだ。
大変申し訳ないが、彼女をたたき起こせばすむ話だ。

と、余裕をかました俺に、
神は突如として試練を与えた。

下腹部に走る、強烈な痛み。
とんでもない便意が俺を襲う。
いかん、限界だ。いよいよ彼女をたたき起こそう。
ドアを開ければ数メートル先には、
女神のごときトイレ様が鎮座しているはずだ。

そのときである。
非常事態であるにもかかわらず、
さらなる非常事態が発生してしまったのだ。

俺のクリエイティブ魂が、
メラメラと音を立てて燃え初めてしまったのである。

「やっちゃったら、どーなんの?」

あの行為に関しては、
確か5歳のとき以来やったことがない。
チャンスだ。
ほのかな郷愁と、めくるめく好奇心にかられ、
俺は決意した。

と、ここまで書いて、
その先はオンエアに耐えられないことに
気づいてしまいました。すいません。
あとは勝手に想像(したくもないでしょうが)
してください。

さて来週は、同僚でありライバルである
迫田哲也さんにお願いします。
それじゃ迫田、あとは頼んだ。

NO
年月日
名前
5979 2025.10.17 尾上永晃 「どう?」 2019〜2025
5978 2025.10.16 尾上永晃 オリエン学入門
5977 2025.10.15 尾上永晃 広告民藝運動
5976 2025.10.14 尾上永晃 好奇心は鍬である 「音楽・ジャズ喫茶案内」
5975 2025.10.13 尾上永晃 好奇心は鍬である「オーディオ沼顛末」
  • 年  月から   年  月まで