リレーコラムについて

留守番電話の行方。

小出ななみ

最近のガチャガチャ流行りはすごい。
JKの娘は、SNSで新作入荷をチェックしては
毎日のようにガチャガチャッと回して帰ってくる。
中でも人気が出たものは、
リアルタイムでのガチャガチャとしての販売が終わっても、
メルカリなどで取引されているらしい。

「これ買っちゃおうかな」

娘がスマホをスクロールしながら言う。
なんでも数年前に出た「折りたたみガラケーキーホルダー」が今も人気だという。

我々にはエモすぎるアイテム。
ブラックとシルバーで迷うと言う娘に

「かあかはシルバー一択だね」

と、要らぬ思い出を思い出しながら勧めたが、娘はブラックを買っていた。

届いたものを見ると人気なのもわかる。
本物と同じように折りたたみでき、画面の付け替えができ、
なんとボタンを押すと「ピー」という音のあと、数秒、録音できるのだ。
「留守番電話機能」である。さっそく、私もやってみる。

ピー。「留守番電話に接続しまあす」

何言ってんだ。なんだか恥ずかしくて言葉が出てこない。
本物には少し遠いが、ピー、という留守番電話特有の合図音に胸がキュン詰まる。

ピー。「こちらは、ツーカーホン関西です」

なぜもう存在しないケータイ会社の名前を言ってしまうのか。
J-Phoneではないところに関西に染まった自分を認める。
そうやって次々とボタンが押されると録音は上書きされていく。
さっき録音した「留守番電話に、、」の録音はもう二度と聞けない。

あの頃、ささいな用件でも多少の意を決して言葉にした留守番電話。
私は、誰に、どんな言葉を残したのだろう。
誰が、私に、どんな言葉を残したのだろう。

残したのにもう残っていない言葉たち。
手紙と電子メールのはざまで、若さや不機嫌さや愛しさを含ませた声で。

朝起きて読んだら恥ずかしくて後悔しそうなコラム、
いやポエムになってしまった。

まるであのとき入れて後悔した、留守番電話みたいだ。

ピー。私は今日もなんとかやってるよ!

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