スナック。そこが私のアナザースカイ
30過ぎた頃から賑やかな店がすっかりダメになりました。
うるさいのが嫌だ、というわけでなく、理由は僕の滑舌の悪さにあります。
ただでさえ相手は聞き取るのに難儀するのに、うるさい場所で酒など投入されると最悪。
まったく話が通じなくなります。
前に、とある友人と飲みにいったときなど、当たりが悪くて入る店、入る店で、
けたたましく奇声をあげる酔っ払いと出くわしました。
かつ、僕は滑舌が悪く、友人は異常なほど声量がないという最悪の組み合わせ。
ぜんぜん話が噛み合わず5分ごとに店を変え、4軒目で客一人いない店を発見し入店。
なるほど、ひと昔前の社会主義国並みのサービスでしたが、ようやく腰を据えて飲むことができました。
お茶っ引きの店にも、何かしら需要はあるものなのです。
そんなわけで、一人で飲むときも自然とうるさい店は避け、
少人数制のスナックばかりに足を運ぶようになりました。(スナックで馬鹿騒ぎする客は追い出される)
ところでこの場所の魅力は、静けさだけではありません。
ママと呼ばれる女性が独自のルールを敷くスナックは店ごとに個性があり、よって客層もバラバラです。
仕事帰りの会社員が中心の店、上は90代の常連がいる店、個人事業主が多い店(こういう店は開くのが早い)、
女性客が幅をきかせている店、犬同伴OKな店。いろいろです。
よって、ここに来なければ一生、出会わなかったであろう人、聞けなかったであろう話も数多し。
海外の著名人御用達の畳職人さんが渡航先で目撃した世界的アーティストの裏側。
三島事件で市ヶ谷を占拠したメンバーの愛人だった、とのたまう女性が語る事件前の出来事。
フリスビー日本代表選手が語る世界チャンピオンになるまでの道のり。
枚挙にいとまがありません。
ただ残念なことに、興味深い話を聞くほど、僕は普段以上にお酒が進んでしまう “らしく”(途中で飲が進んでいる事実さえ気づかなくなる)、朝起きると細切れにしか覚えていない話も多いのです。
上長アベさんは「楽しい時間を忘れるなんて、もったいないと思わないの?」と呆れ、
時折、酒の飲み方について諭してきます。
が、それは僕の滑舌並みに治すことはできないでしょう。
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