中学3年生の女子へ
虎ノ門広告祭3日目。僭越ながら私も登壇させていただきました。
『M-1の広告、今年どうする!?(仮)』というタイトルで、運営チームから仮でもいいのでリリースに向けてとりあえずまずタイトルだけもらえればということで(仮)で出したら、他に誰もそんなことしてなくて、恥。
とはいえ、結果的に(仮)に救われました。内容を詰めていくと、今年の話はなかなか権利的にも難しく、毎年M-1の4分PVについてめちゃくちゃ熱い感想をくれる同期の映画監督、長久くんにM-1広告についての質問をしてもらう形で、会を進行していくことにしました。その中から何か今年のヒントが見つかればいいなと。
朝日放送テレビのM-1プロデューサーの桒山さん、総合演出の下山さんにも来ていただき、長久の進行のもと、歴代のどのポスターが好きだったか、4分PVがどうして生まれたのか、どのシーンが好きでなぜそのシーンを使ったのか、どういう体制で撮影しているのかなど、個人的にはクライアントさんと過去を振り返って話す機会はなかなかないので、こんなこと思ってくれていたのか、という気づきも多く、続きは飲みながら今度となるくらい、とても楽しい会でした。
途中、思い出深い広告として、私たちが初めてキービジュアルを担当した 2020年のM-1ポスターの話を桒山さんがしてくださったのですが、まさかの話の途中に泣き始め・・・桒山さんは毎年M-1の決勝進出者発表を手と声を振るわせながらされているめちゃくちゃ熱い男なのですが、まさか虎ノ門で泣くとは!その後涙の理由を聞いたところ、無観客のM-1を実施することを本当に悩みながらやられていて、その思いがボディコピーという形になったのを見たときにリモートでのプレゼンで画面をオフして泣いていたという話をしてくださろうとしていたら、まさかの先に泣いちゃいました!と。その話を聞いて私も泣きました。改めてお二人の芸人さんたちへのリスペクト、M-1への思いの熱さを感じ、この人たちのために今年も頑張りたい!と思える時間となりました。
が、我々はめちゃくちゃ楽しかったけれど、来てくれた人は大丈夫なのだろうか?今年の話全然せぇへんやん!となってないだろうか・・・と心配になり、SNSでエゴサしたのですが、SNS投稿禁止と言ってしまっていて、全く情報がなく。
不安なまま、後輩の真子ちゃん、辰野アンナちゃんの『本当は教えたくない“体験”の作り方』を見に行ったらめちゃくちゃ学びが多く、ますますやばいぞとなっていたのですが、instagramに一通のメールが届きました。
中学3年生の女子です。父のアカウントを借りてメッセージさせてもらっています。昔から短い間で言語化されていたり映像化されているキャッチコピーや広告が大好きで、将来クリエイターに関わる仕事をしたいと思って自分から親にこのイベントに行きたいと言いました。M–1の20回大会記念の大きい本を誕生日でもらうくらいM–1も大好きで、いつものPVも毎年楽しみでした。だから行きたいと思っていた広告祭に今日ちょうどM–1公開会議があると知って需要しかねぇと思いました。実際にお話を聞いてずっと圧巻で泣きそうだったし、この仕事に就きたいなと改めて感じました。
また泣きました。もうこの歳になると涙腺が完全にサブスクです。
たった一人でもこういう気持ちになってくれていたなら十分だし、この子に恥ずかしくないものを作るぞというエネルギーが湧いてきました。虎ノ門広告祭がなければこの子とメッセージをやり取りすることもなかったと思うので、本当にありがたいです。
そして、彼女はお父さんと5時間も(!)ブレストして今年の4分PVの楽曲候補まで送ってくれました。しかもそのセンスがとても良くて。
いつか広告業界に入ってくれたらいいな。一緒に仕事ができたらいいな。そしてこのコラムを見てくれたら嬉しいな。そんなことを思いながら書きました。
中学3年生の女子へ。今日は本当にありがとう。あなたがコピーライターになるまで、私も頑張ります。
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