界隈
コラムは、なんでも自由に書いていい。
・・・そう言われると、なにを書けばいいか悩みます。
途方に暮れてしまったので、
行きつけの美容師さんにテーマをもらうことにしました。
そこで出てきたのが、「界隈」という言葉。
少し前に、谷山さんからも「界隈」の使われ方が、
気になっていたという話を聞いたことがあり。
わたしの尊敬&信頼するふたりが、
同じワードをピックアップするなんて!
ということで、
2024年の流行語大賞トップ10にも入っていた、
「界隈」について、書いてみたいと思います。
意味を調べると、
もともとは地理的な「その辺り一帯」を指していたものが、
「おなじ趣味や価値観をもつ人々の集まり」に近年変化した。
と、出てきました。
ただわたしの認識では、今の「界隈」になるまでに、
もう少し細かく段階があったように感じます。
「界隈」は、単純になにかの集団を指す言葉ではなく、
もっとネガティブなイメージを持っていた
+自分が属さないほかのコミュニティを指す言葉だったと思いませんか?
たとえば、「あの界隈はどうかしている」といった使い方です。
「風呂キャン界隈」は、そのネガティブさを逆手にとり、
自虐しながら自分たちをカテゴライズすることで、
アングラ的なかっこよさに酔っていたのではないかと思います。
先ほどの美容師さんには、小学生の息子さんがいらっしゃるのですが、
あまり学校に行けない期間がつづいていたそうです。
※美容師さんにはコラムに書く許可をいただいています
そんな息子さんのLINEのプロフィール文に、
「不登校界隈」と書いてあるのを見つけ、
なんでカッコつけてるんだよ!と、ちょっとした衝撃があったとか。
これは「風呂キャン界隈」と同じ使い方ですね。
それが今では、ネガティブな集まりに限らず、
ひろく同じ趣味や価値観をもった集団を指している。
また、ちょっと調べると、
SNSで形成されるようになったコミュニティは、
従来の学校や会社、地域のつながりとは違う曖昧なもの。
その集団を指すのに「界隈」がちょうどよかった。
との考え方もあるようです。
たった数年で、ここまでイメージがころころ変わってしまうと、
言葉を扱う側としてはこわいなと感じました。
流行り言葉はコピーに使わないほうがいい
(特に長期利用)と言われるのは、
このように、短期間で世の中の捉え方が変わってしまう
可能性が高いからなのでしょう。
さらに最近、ある仕事でターゲットのことを「界隈」と
表現されたケースもありました。もうビジネス用語です。
10年後、「界隈」はどんな印象の言葉になっているのでしょうか。