リレーコラムについて

フリスク

大平尚明

広告コンプレックス、と言うほどのものではないですが

「学生のときからコピーライター講座通ってました」とか

「小さい頃からCM大好きのCM小僧でした」という人を見ると

敵わないなあと思います。

 

学生の頃は建築をやっていて、

たまたま広告会社に入って、

最初はストプラだったのが、

どうにかこうにかコピーライターに滑り込んだ。

という、だいぶ紆余曲折を経た自分としては

その志というか根っからのCM魂みたいなものが

眩しすぎるなと思ってしまう次第です。

 

先日も、とあるクライアントの宣伝部の方とお酒をご一緒した際

「高校生の頃から気になったCMは全部メモして、

なんなら会社にまで問い合わせることもあった」

とおっしゃっている方がいて、

こんな骨の髄まで広告な人に一体自分が何を提案できるのか

と軽い絶望を覚えました。

 

もちろん、子どもながらに印象に残っていた広告は沢山ありますし、

この業界に入って「このCMはあの人が作っていたんだ!」

という嬉しい驚きや感動もあります。

なんですが、広告に心を奪われたとか、

広告の虜になって夢中で何かをした、というようなことはないのです。

 

その広告原体験がないことに、

どうも薄らとコンプレックスというか、

後ろめたさと感じていました。

 

 

ところがです。

そんな自分にもあったのです。

広告原体験が。

 

あれは高校生のとき。

フリスクのCMでした。

https://www.youtube.com/watch?v=7bBaEYo-EPM

この「FRISK SHARPENS YOU UP!」シリーズ。

 

「フリスクを食べると冴える」

それが、言葉を一切使ってないのに完全に伝わる。

衝撃を受けた自分は、思わず友達と語り合ったのです。

自分だったらこうする、とか

こういう設定でもいいんじゃないか、とか。

結構夢中でアイデアを出しあいました。

完全にブレストです。CMっ子です。

 

 

どうしてこんなプライスレスなエピソードを忘れていたのか。

博報堂に入る時も、コピーライターになってからも。

 

思うに、これって「広告の話」というよりも、

「ゲームとか、なぞなぞっぽい話」だったと思うんですよね、

当時の自分たちにとっては。

言葉を使わずにいかに伝えるかゲーム、みたいな。

 

一年ほど前に、なぜか突然ポンと思いだしたのです。

20年ぶりに同窓会があったからでしょうか。

当時自転車で爆走していた通学路を久しぶりに歩いたからでしょうか。

 

フリスクのCMに知的興奮を覚えた自分が、今コピーライターをやっている。

高校生の頃の取るに足らない会話ですが、

なんだか今の自分と昔の自分が、

やっと地続きになったような気がしました。

そして、面白いと思うツボって全然変わらないんですね。

大平尚明の過去のコラム一覧

5922 2025.07.11 誘惑
5921 2025.07.10 フリスク
5920 2025.07.09 誕生日
5919 2025.07.08 SMメガ理論
5918 2025.07.07 四十
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