リレーコラムについて

お互いガンバりましょ

竹田芳幸

1週間お付き合いいただきましてありがとうございます。

バトンをくれた淺井さんも
まさかこんな内容になるとは思ってもみなかったでしょうw

最後に、Kさんという女性のことを書きます。

彼女は、僕の学生時代のバイトの同僚です。
バイト先は相模原市の橋本という駅の映画館。
場所がら美術系の大学の生徒がアルバイトにも多い環境でした。

映画館での仕事は、チケットのモギリや清掃。
シネコンだったので上映が終わったシアターを掃除して
次のお客さんを入れるという作業をしていました。

当時の僕は大学4年生で広告代理店への内定が決まっていました。
それもあって館内の宣伝物の担当をやっていました。
ポスターを貼ったり配給会社から届く販促物を作ったり。
その中で、たまにPOPを作ることもありました。

映画館独自の企画で上映会があると
そのPOPを館内でつくるという感じです。
例えば「橋本音楽映画祭」みたいな感じの特集上映。

そのPOPの言葉を書いていたのが僕で
デザインをしていたのが美大に通っていたKさんでした。

快活で、誰にでも優しくて、ちょっとギャルで、
僕とはなかなか接点がないような女性でしたが、
彼女もまたクリエイティブの仕事に対する夢を持っていて
よくその話をしました。

夜中の映画館に残って、
みんなでMr.インクレディブルの装飾を作った日が
僕の学生時代のいちばんの思い出です。

そんなKさんが開いたグループ展を見に行ったことがありました。
Kさんの書く絵が好きでした。
でも学生の僕に買えるものではありませんでした。

2学年上だった僕は、先にバイトを卒業しました。
その送別会で、Kさんは僕にその絵をくれたのです。
青と紫の抽象画。
その裏には僕にあてたメッセージが書かれていました。
「目指すはイメージを形にできるヒト。お互いガンバりましょ」
この言葉を胸に僕は広告の世界に飛び込みました。

それから1ヶ月。
Kさんは帰らぬ人となりました。
交通事故でした。

僕に残されたのは、あの絵とあのメッセージ。
お互いガンバりましょって、えっ? 嘘だろ?
俺ひとりになっちゃったじゃん・・・・

あれから17年。
この仕事を諦めそうな日は、数え切れないほどありました。
それでもここまでやってこれたのは、Kさんのメッセージがあったから。
託された思いを果たさなければと。
背中を押してくれたというか支えてくれていた存在でした。

才能も、根性も、勇気もない僕が、
ここまでこれたのは、あなたのおかげです。
ありがとう。

毎年ゴールデンウィークは、Kさんのお墓参りに行きます。
今年は、先日コラムに書いた決意を報告して来ました。
ごめんね。Kさん。

この言葉で、僕の4度目のリレーコラムを終えます。

暗い終わりになっちゃいましたが、
やりたいこと、やり残したことはまだまだあるのでがんばります!
とりあえず、今年はTCCの活動をがんばります!
みなさん、ラジオ聞いてくださいね!
そして、近々大きな発表もあります!乞うご期待!

以上、竹田芳幸のリレーコラムをお送りしました。
つづいては、メレンゲこと「ほりいさやか」さんです。
またいつか~。ありがとうございました~。

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