リレーコラムについて

「書いとかないと忘れちゃうから」その③在宅ワークと松山鏡

木村亜希

以前は会社で仕事をできるだけ終わらせ、
家に帰ってからは(「できるだけ」とか「なるべく」ですが)
スマホも充電器につなげて置きっぱなしかカバンに入れっぱなし、
パソコンを開いての仕事もしないようにしていました。

ところが今年度は在宅で仕事する時間がほとんどなので、
気づけばパソコンにもスマホにも、起きてる間は常時接続状態。

しかし、家族(特に子ども)の前ではできればやめたいなと思っております。

「松山鏡」という落語があります。
親孝行の褒美に何が欲しいと問われた男が
「死んだ父に会いたい」と言ったため、鏡をもらいます。
その村の者はみな鏡を見たことがないので、
男は鏡の中の男を(自分と瓜二つの)父だと思います。
しかし、毎日コソコソ納屋に行く男をあやしんだ女房が鏡を覗くと
鏡の中にはオンナがいるので(女房自身ですが)大喧嘩に・・・!!
という話なのですが、

これ、女房がヤキモチを妬くのは、映っているものが何であるか以前に、
自分がここにいるのに、ここではないどこかを覗き込んでいる
(そしてどうやらそちらのほうが優先らしい)という状況なのではないか、と。

家族や友人が同一空間にいるのに、
パソコンやスマホの中を凝視しているというのは
「お前がイチバン・・・ってわけじゃないから」
というメッセージを発しつづけていると取られてもおかしくない
(状況にもよるでしょうが)。

将来は、インターネットにつながる手段として
もっとよさげなインターフェースが生まれるはず。
パソコンもスマホも道具であることを忘れず、
道具に使われる人間にならないようにしようと思う2020年なのでした。

NO
年月日
名前
5977 2025.10.15 尾上永晃 広告民藝運動
5976 2025.10.14 尾上永晃 好奇心は鍬である 「音楽・ジャズ喫茶案内」
5975 2025.10.13 尾上永晃 好奇心は鍬である「オーディオ沼顛末」
5974 2025.10.12 見市沖 本音の独立談 その3
5973 2025.10.11 見市沖 本音の独立談 その2
  • 年  月から   年  月まで