5秒プレゼン
今日も若いコピーライターや
コピーライターをめざしている人に向けて、
コピーの案出しのお作法のようなものを
書いてみたいと思います。
オカキンでのコピー出しはA4の紙に
手書きしたコピーで行われる。
なので打ち合わせでは
書いたコピーの束を手元に抱え、
一案ずつ出していくスタイルになる。
ポケモンカードバトルのようなもの
だと思ってもらえばいい。
コピーを出す前に
いちいち説明の長い人がいる。
気持ちはとてもわかる。
一生懸命考えてひらめいた渾身の一案。
なんとか理解してほしいと
願うあまり説明が長くなる。
だが僕の経験上、
そういう案はだいたい通らない。
そもそも長々と説明しないと
伝わらないコピーが
いいコピーと言えるだろうか。
そこで5秒プレゼンである。
手元にあるコピーの束から
1枚コピーを取り、
それを相手の目の前に出す。
そのわずか5秒ほどの間に
コピーの補助線となるような
簡単な説明を加える。
その程度で効果的に
伝わるコピーを心がける。
少しテクニック的なことを言えば、
かなり攻めた案を出す前に
まずわかりやすい案を出して
これじゃつまらないので、、、
と言って出したり。
逆にこうなんじゃないか、と
新説を提示してみたり。
どうやって予想外の手を打ち込むか。
相手をハッとさせるか。
あの手この手で揺さぶる。
その流れを手持ちの案に組み込む。
コピー出しはすべてが勝負玉でなくてもいい。
なぜならコピーの場合、
最終的に選ばれるのは基本1案だけである。
それに現実的には攻めた案でなく、
まっとうな案が選ばれることも多いのです。
ここで前回のコラムで書いたことを
踏まえてまとめてみましょう。
50案のコピーを1案5秒でプレゼンする。
50案×5秒=250秒。
さらに最初に与件の整理や考えたことを
話す時間として50秒くらい加えるとすると、
50案×5秒+50秒=300秒(5分)。
これをひとつのパッケージとして
日々のコピー出しに挑んでみてはいかがでしょうか。
コピーを出すことで学べるのは
コピーの書き方だけではありません。
それはプレゼンであり、戦略であり、
コミュニケーションそのものです。
最近のコピー出しはもっぱら
デジタルでやる人の方が多いかもしれませんが、
それでも考え方は変わらないと思う。
「規矩作法 守り尽くして破るとも 離るるとても本を忘るな」
これは千利休の歌で「守破離」の元と言われています。
お作法を壊せたら、それがあなたのお作法になる。
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