リレーコラムについて

コピー年鑑と助言の話

藤田卓也

今年のTCCコピー年鑑が発売されましたね。

が、しかし。

あの重さ、あの値段、あの佇まい。
買ってない方はおろか、開いたこともない方が
世の中には大勢いらっしゃることでしょう。

そこで今回は、イニシャルトークならぬ、
コピー年鑑トークにしてみました。
載っているのは作品番号やページ数です。
コピー年鑑2015が手元にあれば、どれが誰かまるわかり。
どうぞお手元にコピー年鑑をご用意ください。

−−−−−

2013年4月、季節外れな雨の日のことでした。
下北沢にあるB&Bという本屋は
天野祐吉さんのセミナーが開かれていました。

切れ間なくトップクリエーターたちの代表作が流され、
訥々と天野さんが解説を加えていくスタイル。
語られるのはTVCMににじむ人間性。
丁寧に語る姿が印象的でした。

その日、何度も語られたキーワードは「観察すること」でした。
世の中を、時代を、人を、広告を、自分を、
とにかく観察することでクリエーターは育つ、と。
気になって、講義後に質問をぶつけてみました。
天野さんが思う、観察力に長けたクリエーターはどなたですか?

んー、と短く悩まれた天野さんが口にしたのは、
【コピー年鑑2015 P.109で村田さんを褒めている一人目の方】さんでした。

「彼はきっと、人間のことが大好きなんだろうねェ。」
そう笑う天野さんこそ、きっと人間が大好きなんだろうな。
と、ほっこりしたのを今でも覚えています。

以来、いろんな方に質問して回ったことがあります。
「どうすれば、一人前になれますか?」
(身も蓋もない…恥ずかしい…)

【コピー年鑑2015 P.019でフランスパンをお持ちの方】さんは、
「自分だけのポジションを見つけることかも」
と、飲みの席でポツリ。
この世界みんな、本当に優秀な人ばかり。
だからその人だけの場所をつくった人は、強い。

みんな優秀、ということで言えば。
春にクラブハウスで開かれた新人賞歓迎会。
【コピー年鑑2015 P.486で微笑む大先輩】は、
右手に煙草、左手にウイスキーというスタイル。
ニコッと笑ったかと思うと、
「若手はみんな優秀なんだ。
 君たちは運が良かっただけなんだよ。
 だから次だ次。
 次に向かって、今からがんばれ。」

【コピー年鑑2015 P.044に並ぶお二人の向かって左側】の先輩は
「藤田くんは、藤田くんになるしかないから。」
とアドバイスしてくださいました。
とにかくいろんな方法論を試して試して使い倒して、
自分だけのオリジナルを見つけたほうがいいよ、と。

カッコイイ広告を作る人は、やっぱりアドバイスもカッコイイですね…
TCCってこうした大先輩との出会いがちゃんとあって、
入会させていただいてからびっくりしてばかりの毎日です。

これで一週間のコラムはおしまいです。
〆切守れずすみませんでした…
次のリレーコラムは、【コピー年鑑2015 P.091でフランスパンを抱く】小川祐人さんです。いつもお仕事で頼ってばかりの先輩に、ここでも頼ってしまう格好になってしまいました…
小川さん、すみません、宜しくお願いいたします。

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