リレーコラムについて

半地下生活。

森田一成

2002年 広告業界への就職を夢見て、大学5年生になりました。
就職浪人ってやつです。

しかし
代理店をはじめ関西の広告会社制作会社 ほとんど受けましたが、見事すべて落選。
めでたくフリーターとなりました。

仕送りがなくなったので、就職活動しながら生活費を稼がないといけない日々。
朝4時~9時までコンビニで働き、
その後 就職活動をするという生活を1年半ほどやってました。

いま思うと苦労でもなんでもないし いい思い出なんですが
その頃のボクにはかなり辛い日々でした。
いかんせん銀行員と教師の息子なもんで、レールから外れるのがすごく怖くて。
大学を留年したこと・フリーターでいることに罪悪感や劣等感を感じながら、
こそこそこそこそ生きてました。

で、
その頃 住んでたのが半地下のマンション。
一向に光が見えない時期を、ほぼ光が入らない部屋で過ごしてました。

道路からめり込むように作られていた半地下マンション。
わずか4畳弱。
猫背にならざるを得ない天井の低さ。
ベッドで寝ながらキッチンの蛇口をひねれる狭さ。
なのに
風呂トイレがセパレートという意味不明な設計(笑)。
本来 駐輪所であるべきスペースに 無理やり作ってもたような部屋でした。

遊びに来た人は100%笑います。
まず部屋を外から見て笑います、その後部屋に入ってもう一回笑います。

でも笑っていた友人も、帰るときにはせつない顔で帰っていきます。
「頑張れよ、応援はしてる」と千円手渡されたこともありました。
「この部屋にいる限り、運はまわって来ないで」と言った人もいました。

雨による冠水、湿気との戦い、ゴキブリとの共存共栄、
向かいの下駄屋のおじさんとの喧嘩、毎日のようにベランダに投げ込まれるゴミなどなど。
挙げればきりがない負のエピソードたち。

あらためて思い返すと
神様に覚悟を確かめられてた期間だったのではと思っています。

「おまえは、本当にコピーライターになりたいのか」と。

辛かったけど、自分と向き合えた1年半の半地下生活。

その頃に比べると いま起きる たいていの辛いこと苦しいことは、プーです。
余裕です。
無問題です。
へっちゃらです。

あの辛い日々を支えてくれたみなさん、
次へのきっかけを作ってくれたみなさん、
スタートラインに立たせてくれたみなさん、
本当にありがとうございました。

いつかお金持ちになって、あの半地下マンションを買い取ってやろうと思っています。

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ご意見ご感想、
辛かったって書いてるけど 当時おまえ「バイトの女子たち みんなかわいくて楽しいわ~♪」
言うてたやんけ等は、morita@bigface.co.jpまで。

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