リレーコラムについて

言葉は君の味方かい?

日下慶太

わお!松下くんからいただきました。日下慶太です。
松下くんが書いてくれたように、先週末は「おなら選手権」でした。
ヘロリストとして、うんこを4日我慢し大会に臨んだものの準優勝でした。
「セルフ祭」とうアホ祭りを大阪の新世界で開催しています。
なので、この場では愚かなことを書くことが期待に沿うことですが、
日頃『隙ある風景』というブログで愚かなことばかり書いているのと、
日常も愚かなことばかりなので、今回はマジメなことを書かせていただきたい!
TCCのリレーコラムだけに「ことば」をテーマに書いていきたい!
ってことでよろしくおねがいします。(以下人格変わる)

今回は2回目のリレーコラム。1回目の頃よりはよりコピーライターらしくなった。
いや、当時はコピーライターでさえなかった。
1回目と2回目の間で驚くほどぼくと言葉の関係が変わったのである。

幸運なことにぼくは2008年にTCC最高新人賞をもらった。うれしかった。
甲子園出場が決まったらこんな気持ちなのかな、M1で優勝したらこんな気持ちなのかな、
初恋の女の子と結ばれたらこんな気持ちなのかな、と未だかつてない感情が生まれていた。
今まで脳が分泌したことないだろう物質が明らかに出ていた。異常な多幸感だった。
劇的に何か変わると思った。しかし、変わらない。仕事も来ない。
それは何より自分の能力がなかったから。
最高新人賞にふさわしい力がぼくにはなかったのである。
受賞した作品だけで、たまたま言葉の能力を思う存分発揮できたのだけど、
ほかの仕事ではそんな力は出せなかった。得意の真ん中高めではホームランを打つことができたが、
それ以外のコースでは空振りばかり。真ん中高めのコースを投げてくれる人もいない。
これじゃ、いけない。賞にふさわしい力をつけなくては。
ぼくはもう一度コピーライターという職業に向かい合った。
おのずと、言葉について考えざるを得なくなる。
「書くこと」と「読むこと」について改めて考えた。
そして、自分なりに結論が出た。今日は、「書くこと」について書いてみる。

最高新人賞をもらったときの、ぼくの名刺の肩書きは「CMプランナー」。
言葉というよりも、アイデアを考える方が得意だった。
そのアイデアさえ決まれば言葉は出てくるけれど、
言葉からアイデアを紡ぎ出すことはできなかった。
そう、ぼくは言葉の力をまったく味方にしていなかった。
入社してからコピー年鑑を何度もみた。企画でコピーもたくさん書いた。
でも、言葉は味方じゃなかった。
それは「コピーのための言葉」を書いていたから。
短い言葉ばかりを書いて、長い言葉を書いていなかった。
短い言葉にこだわるがあまり、言葉そのものをないがしろにしていた。
それが、大きな原因。なので、言葉を書こう、コピーの前にある言葉を大事にしよう。
ぼくは、何か書くことを探しはじめた。

もう1つ自分の課題、それは写真。大学時代からずっと写真を撮っていた。
写真が本当に好きで、海外を旅しては写真を撮っていた。
しかし、海外に行かないと写真を撮らない。なので、日頃から写真を撮るようにならなくてはと思っていた。
あっ、じゃあ、写真ブログはどうだろう、と思いついたわけである。
これなら毎日書けて、毎日撮れる。

はじめは「Photoday」というどうでもよいタイトルだった。
ただその日のことを写真と言葉でつづる日記。誰のためでもなく、ただ自分のために書く。
はじめは、その記事がおもしろいかどうかよりも、続けることを目的にした。
やりつづけるうちにどうも自分の写真の興味が人間の「隙」にあることに気づいた。
寝てる人、電柱に文句を言っている人、街路樹の新芽を摘むホームレス、
そんな人たちばかりの写真を撮り、書いた。そして『隙ある風景』というタイトルになった。
この4月で書き始めてまる6年。続ければいいことがあって、はじめは1日数PVだったのに、
今では1000PVを越える日もちらほら。都築響一さんの目にとまって、
都築響一編集の有料メールマガジン ROADSIDERS’ weeklyにて
『隙ある風景 ROADSIDERS’ remix 』として隔週で連載している。

で、ブログを続けて一体どんないいことがコピーに起こったか。
それは、言葉が味方になったということである。
RPGで喩えるならば、
『リヴァイアサン』や『ババムート』のように『言葉』を召喚できるようになった。
言葉が味方になってからは、書くのが早いし、質も高まった。
今なら胸を張って「コピーライター」と言える。
TV.Brosなどでも書くことが増えてきたので「ライター」とも言える。
というわけで、コピーの力を伸ばそうと思っている読者の方々、
コピーライターになりたいと思っている人、まずは毎日書くクセを。
ただコピーライターというだけでは、言葉は仲間になってくれないから。
ケルアックも言っている。
「作家になりたいお前にできる助言なんて、
 ヤク中なみのエネルギーで書き続けろってことだけだ」
村上春樹も言っている。
「才能とは何か?それは、何かに目標を定めて、
 ずっと努力し続けられる力ではないでしょうか」ってね。

隙ある風景 http://keitata.blogspot.jp
ROADSIDERS’ weekly http://www.roadsiders.com
KEITATA PHOTO http://www.keitata.com/keitata/

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