リレーコラムについて

音楽

中里耕平

全然詳しくないのに
音楽について語るという危険を冒します。

どうも音楽の好みが偏っていて、
自意識ゴリゴリの音楽とか
衝動的な音楽とかがあんまり得意じゃなくて、
「アーティスト」みたいな感じもちょっと苦手です。

じゃあどういうのが好きかというと、
リスナーへのサービス精神と
プロの技でできている
職人気質のポップスをこのみます。

そういうわけで、
ソフトロックとかいうあまりかっこよくない呼び名でくくられる
1970年前後の洋楽の一部とか、
あとは日本の 60〜80年代の歌謡曲が特に好きです。
(あ、最近の音楽でも好きなのはあるんですけどね)

歌謡曲でいうと、
作曲家の筒美京平さんがやっぱりすごいと思います。
筒美さんは60年代から00年代までの5ディケイドでチャート1位を取った唯一の作家で、
仕事量が半端じゃないにもかかわらず、
一曲一曲が練りこまれていて、常におもしろい。
そして何より、「なんか気になる曲」に仕上げる力がすごいと思います。
このあたり、広告をつくる上でも見習いたいところです。

自身がアレンジも担当されていた70年代までの曲が特によくて、
彼の筆による初期の郷ひろみとか南沙織の曲は
かなりかっこよくて、必聴です。
定番どころは学生時代にだいたい聴いてしまったのですが、
最近はYouTubeで見つけた
郷ひろみの「魅力のマーチ」がかっこよすぎと思っております。
あと「寒い夜明け」は作詞がなんと楳図かずおで、両者ともいい仕事をしています。
そんなもの、と毛嫌いせずに聴く価値があると思います。

あと筒美さんを研究すると
つねにその時代の洋楽の流行をアレンジに取り入れているので、
音楽に通じてなくても、
A&M風ってこういう感じかとか
モータウンとスタックスの違いはこうかとか
古い洋楽にもちょっと詳しくなった気になれてお得です。
(その原典をちゃんと聴けばいい、という話もありますが。。)

たぶんその時代の歌謡曲の録音は
かなり一流どころのスタジオミュージシャンが演奏しており、
その点でもレベルが高いんじゃないかと思います。

そして筒美さんは創作姿勢もまた素敵です。

結果がすべて、と言わんばかりに、
ほとんど表には姿をあらわさないところ。

常に大衆を相手に、どメジャーな、売れ線の曲ばかり求められる立場でも、
ちょっと実験的な要素を必ず入れたりするなど、
遊び心を忘れないところ。

そう考えると、制約ばかりに囲まれながら
ちょっとでもそこに面白みや毒を盛り込もうと日々がんばってる広告制作者が
彼のつくる音楽にひかれるのも、
必然なのかもしれません。
(強引なまとめ)

中里耕平の過去のコラム一覧

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5145 2021.08.05 方針
5144 2021.08.04 おおきな隆夫
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NO
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5679 2024.03.27 鶴香奈子 桜の季節ですね。
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