リレーコラムについて

言葉の話。

早坂尚樹

ノッティングヒルの恋人が好きだ。バタフライエフェクトが好きだ。ライフイズビューティフルが好きだ。H2が好きだ。あだち充が好きだ。尾崎豊が好きだ。銀杏BOYZが好きだ。
好きなものは、挙げきれないくらいたくさんあるけど、結局いちばん好きなものは何なのか、この仕事をしていて気がつくことができました。

映画のセリフが好きで、
漫画のセリフが好きで、
音楽の歌詞が好きで、
やっぱり、言葉が好きなのだ。

会社に入って、配属されたクリエーティブ局。
まさか自分が行けるとは思っていなかった世界。
名刺の肩書きをどうするか、と聞かれ、無難にコピーライターでいいです。ととんでもない発言をしてしまったのを覚えている。(肩書きがすごく増えはじめていたので、まずはコピーライターとして頑張りたいという意味だったのだけど…)

打ち合わせでは、いつも首を傾げられ、僕の案はすぐに紙くずになるし。つまんなくてスミマセン、なんてヘラヘラしながら、自分には才能がない、毎日絶望していたけど。

やっぱり、コピーライターがいい。コピーライターとして、プロになりたい。

正直、今までは、名刺交換の時に、コピーライターと名乗る自信がなくて、電通の早坂です。と挨拶していた。
コピーを書いてきて、と言われた時も、自分の書いた言葉をコピーと呼べるのかなんて不安になって、文言です。とか言葉まわり考えました。なんていつも誤魔化してきた。
でも、そうやって逃げるのはもうやめようと思う。

僕はコピーライターだ。僕の書く言葉はコピーなのだ。

実は、僕には、元気のないときに見るCM集というのがあります。自分のお気に入りのCMやコピーを集めた、昔のカセットテープやMDでいうマイベスト的なものです。
よく元気がないときに見る、ひと言なんて本が出てたりしますが、あれ的な使い方をしています。恥ずかしいやつです。

でも、それを一人でこっそり見ていると、何度も見ているはずなのに、感動して泣いたり、笑ったりして、気づくと嫌なことを忘れられるんですよね。自分が才能がないなんて悩んでいたことも忘れて。よし、がんばろうなんて思えちゃうんです。不思議ですよね。

おそらく、そんな気持ち悪いことをしている人は、なかなかいないのかもしれませんが、僕は広告って、商品を売上に貢献するとかたけじゃなくて、見た人を少し前向きできる、そんな力も秘めているんじゃないかなと信じています。というか、そうあるべきだと思っています。

実際にそんな広告をつくれることなんて、何十年やって一回あるかないかなのかもしれないけれど、
いつか僕の書く言葉が、同じようにそうやって誰かのよし、がんばろうになったらいいな、なんて青くさいことを思っています。そして、そんなことが本当にできるかも知れない、夢のある仕事しているんだと信じています。

だから僕は、やっぱり、コピーライターがいい。

 

…あぁ、こんなこと書いたら、また先輩たちにバカにされてしまう。
ま、でも、いいですよね。こんな若手がいても、きっと。

 

コピーライター
早坂尚樹

 

 

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と、最後回ならではの真面目な内容、すみません。
コラム5回分、お付き合い頂きありがとうございました。

憧れのTCC新人賞、憧れのリレーコラム、
あまりに力むあまり、先輩たちからは熱意は伝わったが、結構すべってるぞと暖かい言葉をいただきましたが、なんだかんだ読んでもらえているというだけで、嬉しかったです。

次のバトンは、同じ局の後輩、真子さんに渡そうと思います。
新人賞受賞作である表情劇場は、とてもステキな作品です。これを見て、前向きな気持ちになった女性はきっといるはず。
僕もこういう仕事ができるようになりたいです笑

というわけで、みなさまお楽しみに。

naoki.hayasaka@dentsu.co.jp

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