リレーコラムについて

続・忘れ草

岡野草平

(前回からの続き)

15年ぶりの胆石発作から2週間。
何の痛みもなく「また15年大丈夫っしょ?」と鷹を括っていた。

が、そんな私に罰を下すかのようにあの痛みがまたやってくる。
「これ、前のより痛い・・・!?」
前回を5としたら7ぐらいの痛みだ。
これはギリギリ我慢できるを超えている!
しかし深夜でクリニックは当然やってない。
近くの総合病院の救急に電話をかける。

救急「どうされました?」
私「お腹が痛くて・・・」
救急「じゃあちょっと様子を見て、朝イチ外来のほうに」

様子は見たんだ!15年も!

私は「いやほんと痛くてですね・・・」
救急「マックスが10だとしたらどれくらいですか?」

同じ単位使ってる?こういう時って万国共通なの?

私「7ですう!!」
救急「じゃあいらしてください・・・」

渋々、受け入れてくれることになったので
タクシーで救急へ。
ナースさんが手際よく点滴で痛み止めを入れてくれて
「あとでエコーとかCT撮るので待っててくださいね」
と簡易ベッドに寝かされた。

深夜の救急病棟はドラマで見ていた感じと少し違っていて
ひっきりなしに救急要請の電話が入ってきて
どんどん患者が運ばれてくるが
若い医者やナースはまるでオフィスにいるかのように
世間話なんかしながら楽しそうに仕事をこなしていた。

そんな中、私の隣に頭から血を流して
包帯ぐるぐる巻きのお爺さんが車椅子で運ばれてくる。

ナース「○○さん、CT撮りましょうね」
お爺さん「CT?いらねえよ!大したことねえんだから!」
ナース「でも頭を打ってるからね」
お爺さん「いらねえって!」
ナース「でもね・・」

みたいなやり取りが15分ぐらい繰り返された後
お爺さんはCT室に運ばれていった。
おそやく慣れたことだとはいえ、ずっとお爺さんにキレもせず
「この方、頭打ってるので先にCTいかせてくださいね、お待たせしてすみませんね」
と私にまで気をつかってくれるナースさん。
もう女神です。
ナイチンゲールの生まれ変わりかと思いました。
と、思っている頃には痛み止めが効いてきて
「1」になっていた。
CTやエコーを終わらせて
「胆のうに石がありますね」
「はい、そうなんですよ、石があるんです」
という何度したかわからない問診を受けて
痛みもおさまったということで帰宅することに。

帰る準備をしていると隣で暴れていたお爺さんが話しかけてきた。
お爺「どうしたんだい?」
ナースさん相手と違って、
仲間だと思われているのか私にはずいぶん優しい。
私「胆石の発作で・・」
お爺「そうかい!俺はね!駅で転んじゃってね!
住まいは世田谷のほうなんだけど、この病院に前に入院したことがあってさ!
〇〇って先生が%#&$#$’$#’#’#・・・」
お爺さんの話を10分聞いて
ようやく解放されのは深夜の3時だった・・・

翌朝、9時の開業ともに前回お世話になったクリニックに飛び込む。
私「昨日深夜に痛みがきて救急にいきまして・・・」
医者「大変だったね(苦笑)」
私「胆のう、取ります・・・」
医者「そうしたほうがいいね、じゃあちょっとエコー見させて」
と、お腹をグリグリ。
医者「あれ?おかしいな・・・石が見えないな・・・」
私「だって昨日の夜はありましたし、痛みも」
医者「これは、ちょっとめんどくさいことになったかも・・
私「え?」
医者「これからMRI撮れる場所探すから、撮ってまた戻ってきてくれる?」

超絶な不安を抱えながら紹介してもらったMRI専門のクリニックに行き
結果持ってまたクリニックに戻った。

医者「あー、やっぱり石が胆のう管に移動しちゃって見えなくなってたんだな」
私「え?でも大丈夫なんですよね」
医者「まあ、手術することには変わりないので、
とりあえず○○病院(昨日救急で行った総合病院)にA先生っていう
僕の同期の胆のう専門のいい先生がいるから紹介状書くね」

おお!なんたる不幸中の幸い!
救急で行った総合病院には「胆のう専門」の外来があって
そこのゴッドハンドを紹介してくれると。

次の日、紹介状持ってゴッドハンドA先生もとへ。
A先生はMRIの結果を見ながら
クリニックの医者と同じセリフを言った。

A先生「あーちょっと、めんどくさいですね笑」

どうやら私の石の位置がめんどくさいらしく、
胆のう〜胆のう管〜胆管〜十二指腸
とつながっていて
石が胆のうにある分には、シンプルに胆のうを取ればいいのだけど、
胆のう管に石あると、胆管を傷つけないようにギリギリを攻めながらになるから
ちょっとめんどくさいのだと。
「難しい」ではなく「めんどくさい」
という表現から命に関わる状況でないことは伝わったので少し安心した。

そういえば、私が受けることになった手術のご説明をするのをすっかり忘れておりました・・・

腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)とは、
お腹に小さな穴(5〜10mm程度)を数カ所あけて、
そこからカメラ(腹腔鏡)や手術器具を挿入し、
モニターを見ながら行う低侵襲(ていしんしゅう)手術のことです。
開腹手術に比べて体への負担が少なく、術後の回復が早いのが特徴です。
(by Chat GPT)

A先生「で、手術ですが最短で4月末になります」
私「え?今日明日じゃなくて?」
A先生「もう手術の予定が埋まっちゃってて〜」

いま3月はじめだから1ヶ月半も先になるのか・・・
でもゴッドハンドだから仕方ない・・・

私「わかりました・・・でも、手術までに
また痛みがきたらどうすればいいんですか?」
A先生「あーそういう人よくいらっしゃるんですよ〜笑
その時はすぐ来てください!」
私「・・・どれくらいの痛みなら行っていいですか?」
A先生「一昨日の痛みはどれくらいでした?」
私「10をマックスとして7です」
A先生「じゃあ7以上なら!」
私「わかりました・・・」
A先生「できるだけ脂っこいものは控えてくださいね〜」
私「わかりました・・・」

手術は決まったものの一抹の不安を抱えたまま家に帰った私は
その夜、温かい素うどんを食べた。

と、その夜。

3度目の痛みが!
15年ぶり→2週間ぶり→2日ぶり
間隔バグってるだろ!

しかも痛みは「7」いや・・・「8」!!?
即電なり。

救急「どうされました?」
私「あの2日前お腹痛くて伺った者で、また痛くて・・・」
救急「様子を見ていただいて・・」
私「A先生がっ・・・10中7を超えたらすぐ行ってくださいと・・」
救急「今はいくつですか?」
私「8でええす!!!」
救急「はあ・・わかりました。ではいらしてください」

2日前のデジャブのような展開で
また痛み止めを点滴で投与される。
「あれ?でもなんだか効き悪いな・・・」
そんな中、またCTへ 。
痛みが引かない中、
救急の外科医がやってきてCTの結果を見せながら言う
救急外科医「石が胆管に移動してます」
私「え?胆のう管じゃなく?」
救急外科医「はい、「胆のう結石」から「胆管結石」という状況になりましたので
ここからは管轄が内科に変わります」
私「?????」
救急外科医「今から、内科の先生が来ますので、あとはそちらで」

なにこの状況?
ここから先は神奈川県警の管轄なんで〜みたいな。
私の胆のうは県境かよ。

救急の内科医が埼玉県警みたいな顔をしてやってきた。
救急内科医「痛いですか?」
私「はい・・」
救急内科医「マックスを10としたら?」

おいおい、どこでもこの単位だな・・・

私「8です・・・」
救急内科医「さっき説明があったと思いますが、
石が胆管にいっちゃってましてね。
そうなると、すぐ内視鏡で取らないと危ないんですよ
なので即入院して明日明後日に取りましょう」

もう、はじまりがなんだったか忘れちゃったよ・・・
とにかく私の担当は内科に変わって内視鏡で石を取る。
そして人生初の入院が決まったのだ。

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2日寝かせた挙句、前より長くなってしまいました・・・
やばい・・・でもまだ入院編の前・・・
こんなつもりじゃなかったのですが、すみません。
もう誰も読んでないと思いますが
残りの回で、なんとか最後まで書き上げたいと思います。。

岡野草平の過去のコラム一覧

5896 2025.05.29 ラスト忘れ草
5895 2025.05.29 忘れ草パート3
5894 2025.05.29 続・忘れ草
5893 2025.05.26 忘れ草
5055 2021.01.08 ある春の朝に
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5896 2025.05.29 岡野草平 ラスト忘れ草
5895 2025.05.29 岡野草平 忘れ草パート3
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5893 2025.05.26 岡野草平 忘れ草
5892 2025.05.26 辻中輝 トレーナーになった日
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