リレーコラムについて

夜明けのコンビニ

直川隆久

最近、早朝のコンビニ通いが癖になってしまった。

イートインスペースでコーヒーを飲みながら新聞を読むのだが、毎朝のように同じことを繰り返していると、なんとなくまわりの客にも注意がいくようになる。

気づいたことは――おじさんが多いのだ。自分もだが。

 

しょっちゅういるのが、スポーツ新聞の競馬欄をひろげて、サンドイッチ(2パック)を食べている爺さん。

 

ダウンジャケットの上に、妙に粋なハットをかぶって、じっと外を見ている爺さん。

 

あと、出勤前か夜勤明けか、きまってカップ麺をすすりながらスマホを見ている男。この人には、いちど「もう!これ(と新聞をばたばたするしぐさをし)!やめてくれ!」と注意されたので、見かけたらなるべく離れて座るようにしている。

 

もうすこしおそい時間になると、お菓子をひろげながら談笑しているおばさんグループもいるのだが、早い時間帯はだいたい、おじさんないしは爺さんの一人客だ。当然ながら、みな無表情で、画面であったり窓外の風景であったりをじっと見ている(ニコニコしてたらそれはそれで怖い)。

 

朝のコンビニには、孤独というほど美しくはない、微妙な不満足が近所から持ち寄られている。

 

一度見て印象的だった客がいる。白髪まじりの頭の男と、その息子と思われるこども(小学校高学年か)の二人連れだ。ちょっと、年とってからの子かな?という感じ。まだ夜も明けきらない、暗い道路に面した席で、二人並んでおそらく朝食がわりの菓子パンを食べている。

 

その父親のほうが、何か紙をこどもに見せながら「ここまでなんや。ここまで辛抱したらええねん」などと話をしている。

「退職金でる?」という子どもの声も聞こえた。

何か肯定的な返事をしていた男の顔は、やわらかく微笑んでいた。

 

この二人連れを見たのは、一度きりだ。

どうしているだろうか。

退職金がでて、もうすこし温かい朝ごはんを二人で、あるいは親子三人で、食べているだろうか。

 

 

 

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