リレーコラムについて

アサインはうれしい

山中彰

TCC新人賞を受賞した直後は、
人生でこんなに
祝福してもらえることって
もうないんじゃないかってくらいの
ボーナスタイムっぷりだった。

 

だけど、ひとしきり浮かれた後、
ふと、思った。
あれ、
これからは
何を目指せばいいんだ…?

 

振り返れば
20代の頃はコピーライターに
なること自体が目標だった。
そのために宣伝会議の養成講座に通い、
宣伝会議賞や他の公募に明け暮れた。
運よく公募賞に引っかかると、
それを足がかりに
小さな制作会社に転職。
コピーライターの名刺を得た。
制作会社でカタログをつくりながら、
こんどは代理店で
広告をつくることを目標に決めた。
CCNの集まりで
そのことを周囲にアピールしたり、
自主制作で実績をつくったり、
虎視眈々とチャンスを伺って、
その後なんとか裏口から
広告代理店に潜り込むこともできた。
そして新人賞である。
TCC新人賞は、いわば僕の最終目標であった。
それがとうとう、叶ってしまった。

 

さて、次はどうする?
TCC賞や何か他の賞を目指す?
そりゃ獲れれば嬉しいだろうけど
賞を第一に頑張り続けるのは
もうなんか不毛な気がする。
広告を通して社会に貢献する?
高尚な目標ではあるけれど
漠然としていてどうもピンとこない。

 

どうすれば次の目標を見つけて
ハッピーに働いていけるのか。
悶々と考えていた僕に
ある日、CDから新たな仕事の
お誘いがあった。

 

ちょっと山中くんに
コピーで手伝ってほしいんだけど。

 

なんのことはない。
普段通りの
通常業務の始まりである。

 

だけどなんだろう、
これがめちゃくちゃうれしかったのだ。
正確には、
めちゃくちゃうれしいということに
改めて気づいたというか。

 

お客さんの困りごとを解決すべく、
社内でチームが発足する。
その1ピースとしてお声がかかる。
頼ってもらえる。
うれしい。

 

これといって特に取り柄のない自分が
唯一他のことよりちょっとだけ得意な
コピーライティングで、
お役に立てる。
もしかしたら喜んでもらえる。
つまり、社会とつながれる。
ありがてえ。

 

企画の苦悩も、
思いついた時の快感も、
プレゼンの緊張も、
競合の勝ち負けも、
思い出に残る撮影も、
世の中からの反響も。
あれもこれも、
全てはアサインから始まるのだ。

 

アサインはありがたい。

 

コピーを粘るのも、広告賞を頑張るのも、
全部これのためだったんだ。

 

2025年現在、新たな目標が誕生した。
すなわち、
「次のアサイン」です。

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