ふつうのひと
みなさんは小学生の頃、何の能力者でしたか?
僕は”風”の能力者でした。
右手の体温を急激に上げ、
同時に左手の体温を急激に下げ、
その両の掌を近づけることで
間の空気に対流を生み、
“風”をつくりだすことができるのです。
いつ教室に入ってくるか分からない
テロリスト的な男たちから好きな女の子を守るため
いつでも”風”を発動できる準備をしながら
授業を受けていたし、
サッカーも、バスケも、ドッジボールも、球技全般苦手でしたが、
「俺は”風”が使えるから…人生にこのくらいのハンデは必要か…」
と思っていました。
この能力はかなり汎用性が高く、
ちょっとしたつむじ風を起こすのはもちろん、
力を溜めて空に放てば、雲に大きな穴をあけ、
雨雲を消滅させることもできまして、
台風直撃で完全に雨予報だった小5の運動会が晴れた日は、
「あぁ…ついに”開花”しちゃったかぁ」と思いました。
それが中学生になり、高校生になり、
徐々に自分が”風”の能力者であることを忘れ、
気づけば普通の人間になっていました。
普通に大学に通い、普通に単位を取り、
普通に友達と遊び、普通にバイトして、
漫画を出版社に持ち込んでみるも、
「上手くも下手でもなく普通だから、普通に働いた方がいいよ。」と言われ、
そこから特に奮起するようなこともなく、普通に落ち込む。
あまりにも普通すぎて、
もはや”普通”の能力者になっていました。
これがものすごくコンプレックスでして、
偶然、電通という会社に拾っていただいたのですが、
同期は、ラクロス日本一、藝大主席、インフルエンサーなどなど、
もう普通じゃない人ばっかりで、普通に焦り、
なぜか自分はクリエイティブ配属になりましたが、
とてもクリエイティブなどと呼ばれるべき人間ではないよなぁ、と
ずーーーっと思っていました。
でも、いま考えてみると、
CMの登場人物はみんな“普通”でなきゃいけない。
そうでなければ、視聴者は共感できないから。
そして、“普通”が分かる人じゃないと、異常なものは作れない。
“普通”との差分をどれだけ大きくするかで、異常性を作るから。
実は、普通であることも、
広告の世界では才能と呼べるのかもしれないなぁ、と
だんだん思えるようになりました。
なので、
このコラムを読んでくださっている、広告に興味のある学生のみなさん!
もしいらっしゃいましたら、
「自分は普通だから…」「才能がないから…」とか思わないでください!
実はそんな普通なあなたこそ、
最も広告に向いている能力者なのかもしれませんよ…!
(もちろん変な人も大歓迎です!)
すいません、まだ5年目の分際で偉そうに…
普通に寝ます。おやすみなさい。
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